今年はベートーヴェン生誕250年。27日~30日にわたって、交響曲第1番~9番まで全曲聴いてみた。やはり素晴らしい。
バッハ、モーツアルト、ヘンデルなどベートーベンの先輩達は教会、宮廷のおかかえ作曲者として、教会の祈りため、あるいは宮廷の要望に応えるために作曲した。しかし、ベートーヴェンは自分の人生観を伝えるために作曲した。その作曲意図は第9「合唱」に象徴されるように「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ」である。
交響曲は第1番から第9番まである。一般的には「英雄」「運命」「田園」「合唱」というタイトルがついているものが有名だが、全曲非の打ちどころがない。
交響曲全集はカラヤン、バーンスタインなど世界の著名な指揮者が名演を残している。今回聴いたのは今月発売になった外山雄三指揮・大阪交響楽団。
外山は解説書にこう書いている。”ベートーヴェンは演奏者に特別な集中力を要求している。楽譜から一瞬も目が離せない。—略ー演奏上の「効果」に惑わされて「自由な表現」を思ったりすると、それだけでベートーヴェンの意思を見失ってしまう。しかも演奏者が自由で、豊かな即興な精神を忘れたりすると、決してベートーヴェンは姿を表さない。この一見して相反する要求は、ベートーヴェンはそれほどに演奏者に対して作品そのものに「集中」することを求め、文字通り「豊かな」表現を求めているといえる”と。
外山は今年89才。指揮者生活60数年。その外山が発展途上にある大阪交響楽団を指揮した交響曲全集には今までのベートーヴェン演奏では味わえない清新さがある。
レコードメーカーはこのコンビに「浪速のバンベルグ」(ドイツの朴訥な地方オケ)というタイトルをつけているが、この演奏は日本の外山と大阪響でなければ表現できないきめ細かさと、美しさにあふれている。