2020年8月2日日曜日

小池百合子さん、それを支えた都庁官僚の手記


「築地と豊洲」という本を読んだ。元東京都中央卸売市場次長・澤章さんが書いた手記である。サブタイトルは”「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する”である。迷走に迷走を重ねた小池都政最大の事件の真相が赤裸々に描かれている。
 
 小池さんと言えば、そのメディア(広報)戦略の巧みさである。
 2017(平成29)年9月25日夕刻、安倍首相が衆議院議員解散の会見を行うという情報が流れる。小池さんの新党立ち上げの準備が整はないうちに解散に打ってでれば選挙戦に有利という戦略だった。この情報を察知した小池さんはその裏をかく。同じ25日、新党(「希望の党」)立ち上げの記者発表をする。しかも直前に「パンダ命名会見」を行ったのである。パンダに引き寄せられたメディアはそのまま「希望の党」立ち上げの会見になだれ込み、テレビ、全国紙、ワイドショーからスポーツ新聞まで、小池マジックにまんまとはまった。しかも、「希望の党」立ち上げから1時間後、小泉純一郎元首相を都庁に迎え二者会談。党の公約として「原発ゼロ」を掲げる。結果、安倍首相の解散声明はかすんでしまう。本書は「この日こそ政治家・小池百合子が束の間の絶頂をおう歌した瞬間だった。」と結んでいる。
 この後の「希望の党」の急降下は驚くべきものだった。
 29日、「希望の党」代表になった小池さんの定例記者会見が行われる。記者から民進党との関係を聞かれて「排除します」と発言したのが急降下の予兆となる。続いて「都知事と国政政党の2足のわらじを履いて大丈夫か」という批判がでる。与党であるはずの公明党からも「都政は踏み台か。都政に専念すべき」と苦言がでる。次に起こったのが「小池知事の出馬はないのか」という国政出馬(待望)論だった。9月、小池さんは「希望の党」代表の座を降りる。結党50日目。線香花火のような退場だった。
 「築地と豊洲」のみならず「希望の党」でも揺れ動いた小池さん・・・。
 
 小池さんは7月の都知事選挙で圧勝した。が、コロナ、オリンピックと難題が続く。揺れ動く小池さんと、それを支える都庁官僚とのドラマはこれからも続く・・・。

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