村松勝康(むらまつ・かつやす)さんが書いた「80センチに咲く花」(池田書店)である。表紙をめくると、畠山俊三様″感謝″という筆者のサインがある。
村松さんは「1944年生まれ。秋田県出身。1歳の時に脊髄小児麻痺になり、下肢に障害を負う。1969年、日本大学法学部卒業。1993年、車椅子で日本列島360キロ単独横断に成功。同年、東京都葛飾区議会議員に初当選。車椅子の視点から福祉の向上に日々奮闘している」
村松さんは小学校の入学を認めてもらえなかった。母さんが校長に噛みつく。「あんたたちがオラーの立場だったら、どう思うんだい?歩けないからって学校に入れないなんて、おかしいじゃないか!差別だよ!」「勝康、おまえさー、学校に入れなくて寂しいか?ごめんな」「オラー、淋しくねーよ。勉強嫌いだから」「だども、いつまでもこうしていられねーんだ。勉強しないと、大人になって困るんだよ」村松さんは1年後、入学。母さんの期待に応えて大学まで進学。1993年には区議会議員に当選する。母さんはその2ケ月前、天に召される。村松さんは喜びと悲しみに嗚咽する。
「オラー、もうダメだ、結婚したのに仕事もなくて・・・。オラーは必要のない人間なんだ。死んでしまった方が楽だ・・・」そう思う日々もあった。そんな時、母さんの声が聞こえてきた。「勝康、お前に苦労かけてごめんよ。でも、どんな人でも、世の中に立てる道が必ずある。バカなことは考えないで・・・」
立つ事ができない村松さんの目線はせいぜい80センチ。「80センチに咲く花」のタイトル名はそこに起因している。私が村松さんから本をいただいたのは、2011年、高校同窓会(東京伊勢堂会)の時だった。その高校は鷹巣農林高校。ゆったりと流れる米代川を背に秋田杉の実習林がある学び舎だった。
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