(後方左端、辻本さん。右方向へ市川さん、古屋さん、小生。前列、中川さん。講演会終了後の親睦会で)
1日(土)、龍ヶ崎市(我が牛久市の隣)のクラシック音楽愛好家で組織する”ゲヴァントハウス”の例会に、NHKのクラシック音楽プロデューサー、辻本廉さんをお迎えした。
辻本さんとご縁ができたのは2005年である。
私はこの時、TOKYO FM 出版が企画した「伝説のクラシックライヴ」(収録現場からみた20世紀の名演奏家)のコーデネータをしていた。この本の中核となった「ステレオ放送80年の歩み」の執筆を辻本さんにお願いしたのだった。
1日の講演のタイトルは「FM 長時間番組の放送技術の移り変わり~バイロイト音楽祭の放送を中心に~」である。
FM 放送の前段で、AM 放送の話があり、1957年日比谷公会堂におけるカラヤン指揮ベルリンフィル来日公演の放送をエアチェックした音が再生された。曲目はベートーヴェンの交響曲「英雄」。AM第2放送で放送されたモノラル録音だが、この音が素晴らしかった。当時のAM放送は局数も少なく、局間の周波数が離れており、音声帯域も広かったという。
講演の最後には”バイロイト音楽祭”楽劇「ワルキューレ~魔の炎の音楽」のアナログ録音とデジタル録音の比較が行われた。デジタル録音は2008年、バイエルン放送協会収録で指揮がティーレマン。アナログ録音は1955年デッカ録音で指揮がカイルベルト。聴いた会員の評価はどちらかといえば1955年のデッカ録音の方が良いという声が多かった。私にもそう聴こえた。音場空間の広がりという点では2008年録音が勝っていたが、1955年録音の方が歌手とオーケストラの音を力強く捉えており、音楽の本質をとらえていると感じた。
この違いは録音プロデューサー、ミキサーの違いによるものだと思う。新しいものであれば、デジタル録音であれば、音がいいとは限らない。それに携わる技術者の力がものを言う。
辻本さんは1944年広島生まれ。1969年、NHK入局。1973年から2001年の定年まで音響関係の仕事をされた。定年後も音楽プロデューサーとして活躍され、後進の指導にも当たっている。現在、FM番組を中心に「オペラ・ファンタスティカ」「ベストオブクラシック」「名演奏家ライブラリー」「N響ザ・レジェンド」「世界の快適音楽セレクション」などの番組を担当。NHKクラシック音楽番組の守護神である。
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