3月13日、カセットテープを開発したオランダの技術者、ルー・オッテンス氏が94才で死去したと報じられた。同氏は1926年生まれ。60年代、オランダ・フリップスの開発部長としてカセットの開発に携わった。ポケットに収まるサイズの薄い木片を使い、開発するカセットの形に思いを巡らせたという。(64年、フィリップス、カセット提案)
カセットの特許は無償公開され、その商品化に尽力したのが日本のメーカーである。(66年、日本各メーカー、カセット発売)79年ソニーは携帯カセットプレーヤー「ウォーマン」を開発。野外で音楽を聴くいう新しい音楽の鑑賞スタイルを提示した。
カセットテープの累計販売巻数は1千億巻と報じている。日本磁気テープ工業会調べによると、カセットテープ全盛期(1992年)の世界の販売巻数は19億5千万巻(日本4憶、アメリカ4,15億、欧州4,76億、その他6,66億)となっているので、1千億というのは多い気がする。工業会で把握できないものが数多くあったということだろう。なお、小生が現役の頃のTDKのカセットの売上金額は年7百億円だった。全世界でシェアトップ(ブランド品のブランクテープ)となり、利益率は高かった。ビジネスはトップにならなければと感じた。
特に小生は75年~87年までカセットの商品企画を担当していた。その間、13回、海外出張をした。83年にはドバイ、サウジアラビア、バーレーンまで旅をした。カセット担当の「アラビアのロレンス」である。目的は新商品の説明と、市場調査である。といえば、小生はエリート社員のようであるが、学歴は農林高校卒である。語学は全くできない。一流大学出身の海外駐在員の方々がアテンドしてくれた。
私の取柄といえば、録音の仕組み、テープとレコーダの相性、聴感評価について、オーディオ・音楽評論家と会話ができた。ということだろう。カセットがなかったら、私の今はなかった。棺に入る時はカセットテープも一緒に入れるつもりである。
先輩!久しぶりにカセット談話、当時の先輩の活躍が目に浮かびます。
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