2021年3月27日土曜日

令和カセット物語②特許庁重要発明「AVILYN」


2月28日、梅木先輩からメールが送信されてきた。
TDKが開発し、1978年大河内技術記念賞を受賞し、さらに1985年、特許庁百周年記念事業で重要発明53件に入った、Co被着型高性能磁性紛(商品名AVILYN)に関するものだった。
アビリン(AVILYN)はハイポジション用カセット「SA」(1975年発売)に使用された磁性材である。
カセットテープにはノーマル、ハイ、メタルという3つのポジションがあるが、この3つのポジションでTDKはシンボルともいえる商品を開発している。
最も有名なのが、1968年発売したノーマルポジション用スーパーダイナミック「SD」。「SD」は世界初の音楽用カセットと知られている。アポロ11号にも搭載された。

次に有名なのが、1979年発売されたメタルポジション用カセット「MA-R」。
このカセットはハーフにダイキャストを使用している。今でもカセットテープのシンボル商品に位置付けられている。
「SD」と「MA-R」があまりにも有名だけに「SA」はやや陰が薄いが、磁性材料メーカーであるTDKの本領を発揮したのが「SA」である。「SA」はアビリン磁性材独特の音がする。アナログサウンドだけがもちうる神秘の音である。
 ハイポジションはアメリカのデュポン社が開発したテープを基準にして作られたが、後発だったSAが音質的に優れていたため、このポジションでもTDKはトップになった。アビリン磁性材はカセットの他、VHSビデオにも使用され、TDKの記録メディア事業を支えた。


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