(1977年、普門館でベルリンフィルを指揮するカラヤン)
1977年、普門館で行われたFM東京「TDKオリジナルコンサート」カラヤン・ベルリンフィルによるベートーヴェン交響曲全曲収録には数限りないエピソードがある。同全曲CDの解説書からそのいくつかを紹介する。
東条碩夫(音楽評論 元FM東京プロデューサー)
〇第5番「運命」の普門館での演奏は、彼等が残した如何なるレコーディングにおける演奏にも増して凄まじい力感に溢れているといえよう 〇録音エンジニアはエフエム東京の橋本正文が、他の7曲は若林駿介氏がつとめた 〇「第9」の本番直前、それまで快調だった収録用のアンプがトラブル。心の中でアンプを呪った。
中山 実(大阪国際フェステバル協会元職員)
〇1977年のベルリン・フィルの招聘は大阪フェステバル協会とNHKの競争となりました 〇ベルリンフィルは正団員約110人に約40人のエキストラを加えた総勢150名を超えるメンバーが来日しております。TV収録のある日は正団員が出なくてはならないという決まりがありました。「運命」「田園」はTV収録があったため正団員のみ出演している大変貴重な記録です。
太田昌純(元中央宣興株式会社ディレクター)
〇「なんで今さらカラヤンのベートーヴェンなの?」という声があった。しかし、69才のカラヤン、今回の東京公演のリハーサルは凄まじいものだった。それはまるですべての曲がまっさらな新曲で、今生まれたばかりの瑞々しいコンテクスト(文脈)を、オーケストラから呼び覚まそうとするかのようだった。
*太田さんは静岡大学出身。前歴は音楽教師。クラシック音楽に人並外れた愛着を持っていた。スポンサーのCMにも注文をつけた。本編の音楽と調和のとれた”宣伝臭さのないCMを”と。番組の録音に若林さんの起用を要請したのも、小生と太田さんの意向だった。間にたって野原博さん(元中央宣興株式会社・営業局長)はいつも苦労されていた。野原さん、太田さんと3人で「カラヤン」の話をしたい。しかし、太田さんはもう旅立ってしまった。
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