(右から、私、石黒新社長、水野さん)
私はTDKに勤めていた。2002年、60才で定年を迎えた。
退職時のTDKの売上は5,600億、社員は32,000名(海外も含む)。
今年の売上は11、520億、遂に一兆円を超えた。社員はなんと91,600名。10万名、目前である。
TDKの社長が今年の6月交代した。新社長(8代目)は石黒成直さん、58才である。中間管理職で定年退職した私にとっては雲の上の人である。8月(だったかな)、驚いた事に、この雲の上の方が参加される飲み会に誘われた。さらに驚いた事に幹事の方からこう言われた。「畠山さん、新社長にお祝いの言葉をお願いします」。その時から眠れない日々が続いた。
23日、遂にその日がやってきた。会場に着くと、TDK・OBの方を中心に20数名の方々が顔を揃えていた。席は指定席になっていた。私の席はなんと、石黒新社長の隣である。6時近く、拍手に迎えられて新社長登場。6代目社長、澤部肇さんも一緒だった。
乾杯の音頭に続いて会食をしながらの懇談。驚いた事に石黒さんがサラダ盛りから、サラダを小分けして同じテーブルの参加者に配りはじめた。その手際は見事だった。私にはこのような気配りはできない。
いよいよお祝いのスピーチが始まった。60代のOBの方々3~4名が続く。司会の幹事の方の説明によると、いずれも社長の座を目指した優秀なTDKマンだったという。さすがに皆さんうまい。
そして、最後、私の番となった、司会者は私をこう紹介した。「無欲で謙虚な方です。ただ、TDKに対する愛社精神の強さはナンバーワンです」
私は立ち上がった。ありがたい事に冷静な精神状態である。これならば、準備した3分間スピーチは語れそうである。
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