2014年5月2日金曜日

’65制作「飢餓海峡」の衝撃

伴演じる弓阪刑事(左)と三国演じる殺人犯・犬飼

連休である。毎日が日曜日の私でも連休はホッとする。
先日、BS放送から録画しておいた1965年制作の映画「飢餓海峡」を観た。
テレビドラマ化もされ、過去に観た記憶があるが、今回の映画には圧倒された。

原作は水上勉。監督が内田吐夢。三国連太郎、左幸子、伴淳三郎、藤田進、高倉健、加藤嘉といった名優が登場する。殺人鬼・三国が良い。その男に惚れる左幸子がなんとも哀れ。左演じる杉戸八重は三国を忘れる事ができず下北の大湊から東京へ。彼の爪をお守りのように持って。三国を追う函館の刑事を伴淳が好演。
 
 三国演じる犬飼が殺人を犯す遠因は彼の育った貧しさにあった。原作の水上勉も幼少から壮年まで貧しかったという。作者の飢餓体験が「飢餓海峡」という傑作を生んだようだ。 モノクロの画面が映画に奥行を与える。「飢餓海峡」にカラーは不要である。

物語は昭和22年からの設定。私は昭和17年生れだから、私の人生とも重なる。蒸気機関車、女性の服装は和服。(私の少年時代もそうだった)。道路は未舗装、土埃。上野駅だけは今の駅舎と同じだが、入口に靴磨きが並ぶ・・・。

放送されたのは183分のノーカット版だった。
当時を描いた映画といえば今井監督の「米」や、松本清張の「砂の器」などがあるが、それらを凌駕する圧倒的な感銘を受けた。

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