2012年11月8日木曜日

祖父の遺訓

5日、弟(64歳)から来たメールを見て唸ってしまった。

 「私の家の床の間の写真を添付します。掛け軸は実家の床の間に長年掛けられていたものを譲ってもらったものです。”子孫のために”という添え書きがあります。大分汚れておりましたので表装しなおしました。」

 そういえばなんとなく見覚えがある。ただ、私は草書体が読めないので、記憶から遠ざかっていた。それを察したのか、弟は楷書体を添え書きしてある。
  
        「欲深き人の心に降る雪は積もりつもりて道を忘るる」

この文章を見て、唸ってしまったのである。
なお、この道歌の作者は幕末の三舟(勝海舟、山岡鉄舟、高橋泥舟)の一人、高橋泥舟とある。

 祖父は遺訓として「水の五訓」「修身斉家治国平下」等を残しているが、今回の掛け軸の言葉が最も心に響いた。

 祖父は教師になる為に秋田師範に進んだが、長男が亡くなった為、家業である農家を継いだ。弟は容貌も祖父譲りであり、教師になって祖父の思いをかなえた。彼の手によって、70歳になった今、私は祖父のもう一つの遺訓を知ったのである。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿