(足摺岬にある田宮虎彦の文学碑)
四国旅行をしてズッとひかかっていた。
田宮虎彦の書いた「足摺岬」である。若い時に読んだのかもしれない。しかし、ストーリーなど全く思い出せない。
図書館から借りて読んだ。
素晴らしい。感動した。切ない内容だった。
今回の旅行では、土佐清水から険しい山道をバスで超えて岬のある温泉まで行ったが、小説を読むと、主人公は清水から二里ほど歩いたとある。また、馬車に乗ったとも書いている。いずれにしろ、難行苦行である。この本が書かれたのは昭和24年10月とある。今回の旅行でも足摺岬は秘境だと思ったが、当時は本当に地の涯だったと思う。
主人公が足摺岬を目指した目的、それは自殺だった。泊まった宿屋でのお遍路、売薬屋、宿屋の女将、娘との交流が描かれる。出てくる登場人物、それぞれが暗い、切ない。
小説・足摺岬の背景には高知出身の父の厳しい教育があったようだ。なお、虎彦の次男はトランペット奏者の田宮堅二だという。今は桐朋学園の教授とのことだが、NHK交響楽団で彼のトランペットを聴いた記憶がある。
昭和29年、足摺岬は映画化されている。監督・新藤兼人、主演、木村功、津島恵子。是非映画も観たものだ。
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