「20世紀の名演奏」に出演した黒田恭一
今年の5月、黒田恭一、7月、若杉弘が相次いで逝った。
黒田恭一は1938年生まれの音楽評論家。早稲田大学の卒業だが、在学中から音楽評を雑誌に投稿。以降、音楽評論一筋。中野のご自宅にお邪魔したことがあった。地下が試聴室になっていた。30畳ほどの部屋の四方の壁際はすべて、CDとLPレコードで埋め尽くされていた。温厚で平易な語り口で、クラシック音楽の普及につとめた。NHKテレビで放送された「20世紀の名演奏」の解説は感動的だった。
若杉弘は1935年生まれ。父君は日米開戦時の駐米公使だった。若杉は岩城宏之、小澤征爾とならぶ戦後の日本人指揮者の3羽烏として、世界の音楽界で活躍した。小澤がボストン交響楽団の音楽監督として活躍し、その後、ウィーン国立歌劇場の音楽監督になったのに対し、若杉はオペラ指揮者として、ドレスデン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場指揮者の要職を歴任。ドイツ語圏におけるアジア人指揮者の地位確立に貢献した。2007年より、日本の新国立歌劇場の芸術監督を務めていた。
若杉はベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」の日本初演を行なったが、東京文化会館の天上桟敷でこのコンサートを聴いた。40年以上前のことである。
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