2009年7月23日木曜日

シューベルトの顔


 シューベルトというと魔王とか菩提樹などで有名。歌曲の王ともいわれる。また、ピアノ五重奏曲「ます」も有名である。

 今月、シューベルトのピアノソナタを作曲当時のピアノ(フォルテ・ピアノ)で演奏したCDが発売された。演奏されているのはピアノソナタ第20番、他。この20番が作曲されたのは1828年。この演奏に使用されているピアノは1822年ころのものだという。

 現代コンサートで主に使用されるモダン・ピアノは当時のピアノと比較して、ピアノの打鍵機構が変わり、筐体も木材中心から鋼板に変化している。結果として音も大きく、音色も多彩になっている。つまり表現力が豊かになってきている。

 フォルテ・ピアノで聴くと、シューベルトのピアノソナタは古典的味わいが濃く、モダン・ピアノで聴くロマン性は影が薄くなり、意思力が滲みでている。ベートーベンのピアノソナタに近い印象になる。

 我々が音楽室で見る、温顔のシューベルトは一面であって、本当の顔はもっと厳しいのではないか。演奏者であるホッホランドの顔がCDのジャケットに使用されているが、この写真のようにシューベルトも厳しいのではないかと想像した。

 そういえば、彼の歌曲も綿々とした叙情に溢れているようだが、聴きこんでみると、抜き差しならない厳しさと儚さがある。

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