2023年2月10日金曜日

そこまでやるか!科学者が語る音楽の深淵


7日(土)私が会員になっている NPO法人・龍ヶ崎ゲヴァントハウスの例会があった。
開催時間である午後2時、30分前に会場に着く。先にきた会員の方々が起立して、見知らぬ男性の話を聞いている。「畠山さん、今日入会された加来さんです」。男性は加来さんといい、加来さんが入会の挨拶をされていたのである。加来さんはご自分が執筆されたという「クラシック33名盤へのオマージュ」という本を携えていた。
8日、私はこの本をアマゾンで購入した、夕方には着いた。(注文した日に届く。アマゾンは凄い)著者の経歴をみると、こうある。「加来久敏(かくひさとし)植物病理学者。日本植物病理学会名誉会員。1946年福岡県生まれ。1974年農林省入省、以後農林水産省研究機関で植物病理の研究を行う。この間、1980~1981年米国ウィスコンシン大学留学(以下,略)」
早速、第1盤を読む。米国留学時に聴いたアバド指揮シカゴ交響楽団による、マーラー作曲、交響曲第1番「巨人」である。加来さんがこの本を書いたのは2018年とうかがっていた。38年前の記憶を辿って書いたものである。が、昨日のことのように鮮明な描写である。衝撃的な演奏に興奮した加来さんは、終演後、指揮者アバドの楽屋へ押しかける。
 日本の学者は控え目だと思っていた私、加来さん、そこまでやるのか!である。アバドはイタリア人。加来さんの語学力はどうだったんだろう(農林高校卒業の自分とは違う。失礼だぞ…)次から次へと疑問が沸く。一晩考えて、「加来さんこそ、真の科学者ではないかと思った」つまり、物事の本質を見極めるためにはどんなことにも挑戦する!それが加来さんのようである。
 第6盤のグランドオペラの楽しみとウィーンの思い出、は音楽ファンでなくても楽しめる。1974年、オペラを観るために初めて渡欧したとある。横浜からナホトカまで船、ナホトカからハバロフスクまでシベリア鉄道、ハバロフスクからモスクワまで飛行機、ソ連からウィーンまでは寝台列車「ショパン号」。ロマンチックな旅を連想したが、寝台は大きなロシア人がどうやって寝るんだろうと思うくらい狭く、検札で何度も起こされ、メシは不味く、苦行の旅だったという。

”科学者が語る音楽の深淵”33盤まで辿り着くには予想もつかないドラマが待っているようである。いずれ、酒を酌み交わしながら加来さんのお話をうかがうのが楽しみである。


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