2021年8月30日月曜日

1967年、「バイロイト ワーグナー フェステバル」の思い出


 24日のブログ「上演15時間、ワーグナーの”指輪”に挑む」をご覧になった方からメールをいただいた。「私は数年前、メトロポリタンの”指輪”を見るために映画館に通いました」とあった。90才近いというご婦人だった。
 クラシックファンであれば「指輪」には特別な思いがある。一般的にクラシックの大曲といえば「第9」だが、クラシックオタクには「指輪」なのである。
「指輪」の一番の思い出は1967年、大阪で開催された「バイロイト ワーグナー フェステバル」である。これは本場ドイツ・バイロイトの引越し公演(オーケストラはN響)だった。「指輪」の第一幕”ワルキューレ”と「トリスタンとイゾルデ」が上演された。ホッタ―、ヴィントガッセン、ニルソンなど、世紀の名歌手が顔を揃えた。チケットの価格は今のイメージでいうと8万円ほど。2公演セット販売なので16万円になる。この時は大学生だった弟も誘い、コンサートの後、鳥取砂丘にも行ったので、かれこれ50万ほどかかった。
当時は高度経済社会、会社も1964年(東京オリンピック・写真)の売上が55億だったのが3年後の1967年には100億円と急成長。ボーナスは3ヵ月、4ヵ月も珍しくなかった。独身だったので、小遣いは趣味のクラシック音楽に使った。
その時の思い出がコロナ下の老後を豊にしている。



2021年8月24日火曜日

上演15時間、ワーグナーの「指輪」に挑む


 コロナ自粛の機会を利用してワーグナー(ドイツの作曲家1813~1883)のオペラ(楽劇)「指輪」(二―ベルングの指輪)を鑑賞(DVD)することにした。
上演に約15時間かかる。ワーグナーが自分のオペラを上演をするために作ったバイロイト祝祭劇場(1876開場)で上演する時は4日かけて上演する。
序夜「ラインの黄金」2時間40分、第1日「ワルキューレ」3時間50分、第2日「ジークフリート」4時間、第3日「神々の黄昏」4時間30分といった具合である。「ワルキューレ」の”ワルキューレの騎行”はコッポラ監督の「地獄の黙示録」でヘリコプター部隊の戦闘シーンで使用された勇壮な曲である。「神々の黄昏」の”葬送行進曲”も壮大な曲である。

小生が鑑賞中のDVDはバイロイト祝祭劇場ではなく、2002年シュトゥットガルト州立劇場(1912開場・写真)で上演されたものである。このDVDの最大の特徴は上演史上初めて、4つの作品に別々の演出者(制作チーム)を起用したことである。果たして、これで作品の統一感がでるのだろうか?
結果は素晴らしい!
ワーグナーの超大作を斬新な手法で上演する劇場のあるシュトゥットガルト市とはどんなところなのか?。人口は60万だが、ダイムラーやポルシェなど数多くのハイテク企業があり、ヨーロッパ、ドイツでも豊かな市である。客席は正装した紳士淑女で満席である。(写真)8月17日から視聴し、今日見終わった。8日かかった。幕間で高校野球を見たり、散歩をしたり気分転換……。
 どんな内容のオペラなの?「全世界の支配を可能とする魔法の指輪を巡り、神、英雄、神話上の生き物が3代に渡り争奪戦を繰り広げる。最後に神々の世界の灰から真の愛が蘇る」並みはずれた声量の歌手陣とオーケストラが巨大な叙事詩を謳い、演じる。


2021年8月21日土曜日

パソコンの維持費、年間10万円(HDDをSSDに交換)

 

8月15日、パソコンのメンテナンスのため、「PCデポ」にパソコンを持ち込んだ。翌日には作業が終わると思っていたら、18日までかかった。つまり、丸3日、パソコンのない生活になった。今までパソコンで遊んでいた時間、読書をしたり、積んでおいたDVDを見たりした。新しい発見があった。19日からパソコンのある日に戻ったが、これからはパソコンに束縛されない日々を過ごそうと思っている。
ところで、今年はパソコンにいくらくらい維持費をかけてることになるのだろう。
私は機械音痴なので、パソコンの修理はやらない。専門業者の「PCデポ」の会員になって同社にお任せしている。同社から会費として毎月2,750円引き落とされる。これだけで33,000円。5月には同社の勧めで、記憶装置のHDD・ハードディスクドライブ(写真・右)をSSD・ソリッドステートドライブ(写真・左)に交換した。この費用が25,950円。つまり、58,950円かかることになる。
この維持費が高いのか安いのかわからない。ただ、専門業者がついているという安心感はある。デジタル社会である。トラブルは困る。りそな銀行のようなことがあってはならない。
 HDDからSSDに交換したところ、パソコンの立ち上がりが格段に速くなった。お金をかけた価値があったと思う。
 HDDとSSDを比較した場合、HDDは記憶容量が大きいが磁気ディスクにヘッドで書き込むという構造のため、衝撃に弱いという欠点があった。SSDは記憶媒体が半導体素子であり、衝撃に強く消費電力が少なく、小さく軽いなどの長所がある反面、記憶容量が小さいという欠点があった。(突然故障してデータの読み出しができなくなることもある)ただ、技術革新で記憶容量が大きくなり、ノートPC用として採用されるようになってきているようだ。
 この度、パソコンのマウスが壊れた。「HARD OFF」で中古品を購入。350円だった。基幹部品でなければ中古品で十分である。
(追記)維持費に肝心の通信費(インターネット等)があることを忘れていた。通信費は月5千円、年間60,000円である。つまり、パソコンに年間10万円くらいの維持費がかかっていることが分かった。ウ~ン……。

2021年8月14日土曜日

コロナ下、”老人の生きがい”はロックダウン


 急激なコロナ感染拡大下、65才以上の高齢者の感染比率は下がっている。その原因はワクチン接種にあることに異論はないが、もう一つは”老人の生きがい”のロックダウンによる人流の削減がある。
私の例を上げると8月に入って、公共施設がロックダウン(閉鎖)されたため、次の活動ができなくなった。これは”老人の生きがい”のロックダウンである。
①毎週、月、水、金に行っていた「グランドゴルフ」中止
②毎週、木曜開催されていた「ベテランズクラブ(老人会)」中止
③第1土曜日に開催されていた趣味の会「ゲヴァントハウス(音楽同好会)」中止
④図書館、閲覧中止
というわけでスケジュール表は真っ白。

年金があるので食べるには困らないが、”生きがい”が無くなった。
コロナ下でも、残ったものがあった。
●シルバーセンターのアパートの掃除。
年会費3千円を払って市のシルバーセンターに入っている。老人でもできる仕事を斡旋してくれる。こちらはまだコロナの影響はない。有難い。週に2~3日、アパートの掃除にでかける。箒、雑巾等を持ち、自転車に乗って意気揚々とでかける。アパートの周辺の草むしり、共用部分(階段等)の蜘蛛の巣を払い、手すりを拭く。社会のお役に立っているという充実感。たまには住民の方から「ご苦労さん」と声を掛けられる。仕事のある日は大きな顔をして食卓に向かう。
●自治会館前の花壇の手入れ。(写真)
自治会館は閉鎖されているが、会館前の花壇の手入れは継続されている。時間があれば参加する。有志の方々と萎れた花を除去し、水をやる。休憩時間の世間話が楽しい。

オリンピックの後、楽しみにしていた高校野球が雨で中断。豪雨災害が早く治まり、高校野球が再開されるのを心待ちにしている。


2021年8月9日月曜日

東京オリンピック⑥コロナ下、責任を果たした日本


新型コロナウィルスの影響で1年延期になった「オリンピック東京大会2020」は昨日17日間にわたる熱戦の幕を閉じた。開催か、中止か、国論を2分した大会だったが、世界のアスリート達の活躍により、興奮と感動の日々だった。自国開催のインパクトの大きさを肌で感じた。次の日本を、世界を引き継ぐ若人達に大きな希望を与えたものと思う。
 

今大会は205か国・地域と難民選手団から約1万1千人の選手が参加。史上最多の33競技339種目で力と技を競った。日本選手団は583人で獲得したメダルは金27個、銀14個、銅17個、計58個。夏冬を通じて最多のメダル数となった。国別の金メダルの順位は米国39,中国38,日本27,英国22,ROC(ロシア)20,豪州17の順番。金メダルの数でもアメリカと中国は拮抗している。2024年のパリ大会では野球、ソフトボール、空手が除外されるので、日本の金メダル数はなかり減るものと思われる。

 参加した多くのアスリートが口にしたのは、コロナ禍という困難な環境の中で大会を実施した日本、および大会関係者に対する感謝の言葉だった。アスリート達がこれほどオリンピックに期待を寄せていたのは意外だった。日本のマスコミではオリンピックの開催に否定的な選手や関係者の声が多く取り上げられた半面、オリンピックに期待を寄せる選手や関係者の声はあまり取り上げられなかったと思う。
 菅総理は「中止するのは一番簡単です。困難な中でどうやって開催するかです」と語っていた。大会が無事開催されたことで、日本は責任を果たし、世界の信頼を勝ち得たと思う。
 テロが無かったこと、大きな自然災害(地震、台風)に遭遇しなかったことも幸いだった。



2021年8月5日木曜日

東京オリンピック⑤選手村のギョーザは世界最高!


 隔離された選手村と極暑。そんな中で選手達は連日闘志を燃やす。そのエネルギーを支えるのが選手村の食事だ。選手村のメインダイニングは3千席。メニューは700あり、24時間営業である。食事は海外の選手達に「美味しい」と評判。すしなどの日本食の他、ギョーザなどのカジュアルフードも好評だという。
 ラグビー米国女子代表、イローナ・マー選手は動画投稿アプリに「選手村のギョーザは世界最高!」と投稿した。(写真は選手村の食堂でのリクエスト風景)
 

8月2日の読売新聞に元東京五輪・パラリンピック大会組織委員長、森喜朗さんのインタビュー記事が掲載された。『後任の人事について菅首相から電話があり、「できたら趣が変わった人」という。「若い人」「それから女性」ということでした。もう橋本聖子さんしかいないと思いました。橋本さんにこういいました。あなたは昭和49年(1964年)生まれ、お父さんが東京五輪開会式に感激して、聖子という名前をつけた。つまりはオリンピックの申し子だ。そのお父さんは去年亡くなられた。あなたは冬季、夏季計7回オリンピックに出たが、お父さんへの手向けに8回目に出なさい。組織委員会の会長として参加しなさいと。彼女は「わかりました」と言って涙を流した。
 
 5月21日、IOCコーツ副会長が「緊急事態宣言下でも東京五輪開催」と表明し、世論の強烈な反発を招いた。7月7日、政府は東京都に対して発令されている新型コロナウィルスに対するまん延防止等重点措置を緊急事態宣言に切り替える調整に入った。23日、東京五輪は「緊急事態宣言下」で開催された。アスリート達の活躍により、大会は予想以上の盛り上がりを見せている。一方、新型コロナはインド型(デルタ型)に変異し、感染者は1万人を超えている。ただ、急激な感染の原因が東京五輪にあるという見方は少ない。
 無事、東京五輪・パラリンピック大会が終了するよう祈りたい。


2021年8月2日月曜日

東京オリンピック④松山メダル逃す!5時間の死闘


1日のオリンピック男子ゴルフ。テレビに釘付けになった。
松山と一緒にラウンドしたのは、今年のマスターズでも一緒だったアメリカのシャウフェレ。シャウフェレはマスターズで負けた悔しさをオリンピックで晴らそうと考えていた。彼の祖父母は台湾人で渋谷に住んでいた。金メダルを獲れば祖父母にも喜んでもらえる。松山はオリンピック直前に新型コロナウィルスにかかり、体調は万全ではなかった。が、自国開催のオリンピック金メダルに静かな闘志を燃やしていた。
 シャウフェレは単独トップでスタート。1打差で松山が続く。前半9ホール、シャウフェレは隙の無い完璧なゴルフ。松山との差を4打に広げる。後半に入ると松山は11番、12番、14番でバーディを獲る。堅実なゴルフを展開していたシャウフェルは14番でティショットを林の中に入れボギー。2人の差は1打差に縮まる。
 テレビ観戦の小生はここで松山の金メダルを確信した。が、続く15番ホールから松山のパットが変調。通常であれば入るはずのパットがことごとくホールを通過する。シャウフェルとの差は17番ホールで3打差となり金メダルは絶望となる。さらに最終18番ホール、松山は入れば単独3位(銅メダル)のバーディパットを外し、7人で銅メダルを争うプレーオフへ。ここではパーパットが入らず脱落。メダルを逃す。
 アマでもプロでもパットが入らない時の迷いは同じだと感じた。いかに冷静になれるかであるがこれが難しい。シャウフェルは金メダルパットの直前、グリーン上でしゃがみ込んだ「心臓の鼓動が早くなってどうしようもなかった。だから目を閉じて、頭を下げて目の前のパットに集中した。このパットを決めればいい。難しいことではないんだ」松山は「ショットは調子を戻せていたが、パットで自分の弱いところがでてしまった。気力だけでプレーしていて最後は力尽きた」と語った。
 5時間にわたる死闘は、山あり谷ありの人生を見るようだった。松山さん、シャウフェルさん、感動ありがとう。