24日のブログ「上演15時間、ワーグナーの”指輪”に挑む」をご覧になった方からメールをいただいた。「私は数年前、メトロポリタンの”指輪”を見るために映画館に通いました」とあった。90才近いというご婦人だった。
クラシックファンであれば「指輪」には特別な思いがある。一般的にクラシックの大曲といえば「第9」だが、クラシックオタクには「指輪」なのである。
「指輪」の一番の思い出は1967年、大阪で開催された「バイロイト ワーグナー フェステバル」である。これは本場ドイツ・バイロイトの引越し公演(オーケストラはN響)だった。「指輪」の第一幕”ワルキューレ”と「トリスタンとイゾルデ」が上演された。ホッタ―、ヴィントガッセン、ニルソンなど、世紀の名歌手が顔を揃えた。チケットの価格は今のイメージでいうと8万円ほど。2公演セット販売なので16万円になる。この時は大学生だった弟も誘い、コンサートの後、鳥取砂丘にも行ったので、かれこれ50万ほどかかった。
当時は高度経済社会、会社も1964年(東京オリンピック・写真)の売上が55億だったのが3年後の1967年には100億円と急成長。ボーナスは3ヵ月、4ヵ月も珍しくなかった。独身だったので、小遣いは趣味のクラシック音楽に使った。
その時の思い出がコロナ下の老後を豊にしている。