2019年2月6日水曜日

蘇る「TDKオリジナルコンサート」CD

夕べ荷物が届いた。
なんだろうと思った。送り主はキングインターナショナル。
開けてみると、1972年、虎ノ門ホールで行われたチェロの名手、ピエール・フルニエのCDである。曲目はバッハの無伴奏チェロ組曲全曲。もう一枚は1983年、日本都市センターホールで行われた女流ヴァイオリニスト、ローラ・ボベスコのCDである。
 両方とも私が現役の頃、FM東京で放送された「TDKオリジナルコンサート」の放送音源をCD化したものである。
 「TDKオリジナルコンサート」のCD化は2000年、定年直前(2002年定年)、キングインターナショナルの協力を得て実現した。第1回リリース作品がフルニエだった。地味な内容だったのに初回オーダーが2,000枚。予想を上回った。
 夕べおくられてきたCDはヴァージョンアップ版である。初回と比較すると音も改良され(よりアナログ風)、奏者の息遣いまで聴こえる。
 初回盤と違って、フルニエ盤には山﨑浩太郎さん、ボベスコにはピアノ伴奏を担当した岩崎淑さんのインタヴューと佐藤康則さんの解説が掲載されている。
 新盤のフルニエは、実に味わい深い。アレアレ、と思ったのはボベスコである。聴いていてハラハラする。技術的に問題がありすぎる。ボベスコの魅力とはなんだろう。それを知るためには岩崎淑さんのインタヴューと、佐藤康則さんの解説を綿密に読む必要がある。
 私はボベスコ聴いて、演奏する作品を忘れ、彼女の今まで生きてきた物語を聞いているように感じた。その物語は切なく哀愁を帯びたものである。

(個人的なことだが、制作スタッフの中に小生の名前が入っていた。その義理堅さに感謝)



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