2016年12月29日木曜日

上流階級の忘年会

 
(日比谷公園の向かいに聳える、「帝国ホテル」)
 
 12月8日、会社の後輩OB、Nさんからメールが入った。
「28日、3人の忘年会の件ですが、会場、帝国ホテル、東京三田倶楽部を予約しました。慶応の後輩(日銀・OB)の紹介です。」

 3人とは、幹事のNさん、慶応OB。TDK現役時代、ファイナンスを含む経理を担当。本社、海外子会社の金庫番として会社の発展期を支えた。沈着、冷静、温厚、趣味は音楽(クラシック&ジャズ)オーディオ。熱海の別荘には4千枚、LPレコード収容の棚あり。本宅、別荘にはJBL、オルトフォン等の名機が鎮座する。ピアノ演奏もプロ並み。
 もう一人はKさん。やはり慶応OB。米国シラキュース大学院。MBA取得。TDK時代、TDKアメリカを立ち上げ、社長に就任。TDK退社後はカナダで住宅会社等を設立し、社長に就任。現在ジャーナリストとして活躍。並外れた情報量と国際感覚。常にアクティブ。趣味は音楽(クラシック)鑑賞。軽井沢に別荘所有。今年、喜寿。
 残りの一人は小生。

 28日の忘年会は帝国ホテルのプライベートルームで11:30~3時間にわたって行なわれた。近況からはじまり、音楽・オーディオの話へと移り、世界の政治・経済情勢と展開。充実した一時となった。Nさん、Kさん「こんどはうちの別荘で・・・」と誘いあう。
 
 家内の独り言「高校しかでてない貴方が、そんな上流階級の方たちとお付き合いできるんだから。幸せね」

 ところで、今年は高齢化現象が顕著に表れた。11月、千葉で行われたゴルフコンペに出かけたが、感ナビが狂い、大幅遅刻。先週末(24日)、布団の上でバランスを崩し、家具に背中を強打。まだ痛みが取れない。強打した当日、高齢者運転講習。なんとか合格。


2016年12月26日月曜日

電通「鬼十則」に共感


昨年12月、電通の新入社員、高橋まつりさんが過労自殺し、厚生労働省が強制捜査を行うなど、社会問題となっている。
 長時間労働の実態を隠ぺいするような事があったら、労基法違反であり、天下の電通らしくないし、厳しく糾弾されて当然である。
 
 この電通の過酷な労働条件の元凶が広告の鬼と呼ばれた4代目社長故吉田社長の遺訓である「鬼十則」にあるという。この「鬼十則」を読んで、私は共感する部分が多かった。その「鬼十則」とは次のようなものである。
①仕事は自ら「創る」べきで与えられるものではない②仕事とは先手で「働き掛け」ていくもので、受け身でやるものではない③「大きな仕事」と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする④「難しい仕事」を狙え、それをなしとげるところに進歩がある⑤取り組んだら「放すな」、殺されても放すな⑥周囲を引きずりまわせ⑦「計画」を持て⑧「自信」を持て⑨頭は常に「全回転」⑩摩擦を恐れるな
 
 マスコミは⑤の殺されても放すなの部分を強調して、記事にしているが、全体を見ると、立派な処世術である。これに沿った活躍をしてるのが誰あろう、東京都の小池知事ではないか。小池知事は今年、日本中を引きずりまわした。鬼の十則の⑥そのものだ。
 小池知事を追いまわし、電通を糾弾する報道陣は多分、過酷な取材活動をしてるに違いない。
 スポーツ選手や芸術家、自営業はどうだろう。彼等だって、命がけで目標達成のために精進している。彼らは健康管理は他人のせいにしない。自己責任だと考えている方がほとんとだと思う。

 「働き方改革」は必要な部分があるかもしれない。しかし、社会全体の活力を奪うような改革はご免だ。
 小生、74才。年金生活。「ピンピンコロリが目標」。「鬼の十則」をお手本に積極的に生きたい。図書館に居眠りをしにいくような高齢者にはなりたくない。命が大事というが、その為に一番大事なのはゆとりよりも「目指す目標」があることではないか。夢や目標がある方が人間生き生きと輝く。


2016年12月18日日曜日

忘年会、途中退席

(写真は母校自慢の見本林)

 今日、池袋で母校(秋田県立鷹巣農林高校、今は合併して秋田県立北鷹高校)OB忘年会があった。忘年会の案内に「東京伊勢堂会大忘年会」とある。伊勢堂は高校に隣接する壮大な森の名称である。
この森から16,000名以上の生徒が巣立って行った。

”大”忘年会とあるところから、幹事の意気込みが感じられる。場所は池袋の「コート・ダジュール」、会費は5,500円。昼の時間なので、それなりの料理もでてくると想定した。
 ところが、店に入って驚いた。どうみてもカラオケ店である。コの字に配置された座席の正面にTVモニターが鎮座している。幹事から「3時間飲み放題です」との説明・・・。

待って下さい。
私の一番の目的は「参加者の近況や学校時代の想い出話をうかがう」事であり、カラオケはその次にして欲しい・・・。しかし、乾杯の音頭から30分もしないのに、「好きな曲を入れて下さい」ときた。私はこれでは、近況や思い出話はないなと思った。これから3時間近く、カラオケにつき合わされたらたまったものではない。勝手だと思ったが退席して帰路についた。

その後、反省。愛校、奉仕精神に燃えた後輩が幹事をやっている忘年会を途中退席するなど、なんと非礼なのだろう。思えば、高校時代、私は傍流だった。専攻である林業の勉強はせず、文芸・音楽の部活動に熱をあげていた。今日に至っても、本流の方達が行っている忘年会の席を中退してしまった。残りの人生も好きな文芸・音楽中心に生きている。

今年の忘年会の〆は28日、「帝国ホテル」。幹事は音楽好きの慶応OBである。

2016年12月11日日曜日

アナログかデジタルか?音はどっちがいいの?

新先生(後列、右から3番目)とゲヴァントハウスのメンバー
 
 10月以降、カセットテープに関連したイベントがあった事もあり、音について、どう説明していいか迷っていた。周波数特性、ダイナミックレンジともカセットテープに比較してCD等のデジタルの特性は優れている。なのに「カセットの音は暖かい」「カセットの音の方が聴きやすい」という声が聞こえる。

 昨日(10日)、オーディオ界の第1人者である新忠篤先生(宮内庁の依頼で昭和天皇の玉音放送の原盤を再生)の講演があった。(私も理事を務めるNPO法人・龍ヶ崎ゲヴァントハウス主催)
 講演のテーマは「蘇る往年の名演奏」。なんと1920年代~1950年代に録音されたSPレコードを復刻したコンサートである。ノイズはあったが、SPの音は中低音が充実していて実にリアルである。音場感も十分。
 先生に質問した。「先生、これモノ―ラルですよね。先生はモノ―ラルとステレオをどう考えておられますか」。先生は待ってましたとばかり、こう答えられた。「ステレオは平面的に音が広がりますが、モノ―ラルの方が音に奥行きがあります」。単純にモノ―ラルよりステレオの方が音が良いと思っていた私には意外だった。
 先生の話によると、SPにはとてつもない情報量が記録されているのだという。(30センチ盤で片面4分しか記録されてないという状況を考えれば想像がつく。それだけ、ゆとりを持った記録がされているのだろう)蓄音機では再生できなかったが、デジタル技術により、再生できるようになったのだという。
 アナログとデジタルのどちらが音が良いかでなはい。両方の機器を使いこなして本物の音を録音、再生できるかである。結局、それに携わる人間の知恵と感性が音を決める。

 カセットはメタルポジションを使用しても1万5千ヘルツ以上の超高音域の音の録音は難しい。「カセットの音が聴きやすい」理由は超高音域特性が減衰しているために、逆に人間の声とか、音楽にとって一番重要な中低音が充実したバランスになる為ではないかと推察する。
 

2016年12月9日金曜日

カセットテープのレガシー、「MA-R」&「黒のAD」

  <大ヒットした「黒のAD」と、最高峰「MA-R」>

カセットテープは私の人生に光を当てた。今でも、それは続いている。
TDKで、33才の時にカセットテープの商品企画担当となった。その年、企画した「黒のAD」(ミュージック・リファレンス AD)がいきなり大ヒット!「社長表彰」に輝く。
37才の時にはハーフにダイキャストフレームを使用したメタルテープ、「MA-R」を企画。C-60、¥1,750という高価格にも拘わらず、月1万本も売れた。

私が商品企画に当たって、最も重視したのは音質だった。
これに磁性材料開発チーム、ハーフ等の機構設計チーム、デザインチームは見事に応えてくれた。「MA-R」の開発の時は採算を度外視して最高のものを作ろうと燃えた。「MA-R」は手に持つとズシリと重い。それによって、テープがスムースに走行し、変調ノイズが減少した。ハーフはデッキの一部、カセットメカニズムというポリシーが最高の形で実現した。

70才を過ぎた今、隠れたカセットテープブームだという。
「黒のAD」「MA-R」はカセットテープのレガシーと呼ばれている。
生みの親という事で、昨年から情報誌、オーディオ専門誌の取材を受けた。11月には「TDK歴史みらい館」で行われた「カセット発売50年イベント」にも呼んでいただいた。
カセットテープに育てられた私は、定年から15年経った今でもカセットテープの恩恵を受けている。
カセットテープ、ありがとう。

<商品開発メンバー>ポリシー&音質評価・畠山俊三/デザイン・浜崎宏/ネーミング・内野森一/テープ設計・畔上仁/ハーフ設計・芝晴男/特性評価・船越正次

2016年12月1日木曜日

農業政策への怒り・・・未来はあるのか!

 
「TDK歴史みらい館」で私を迎えてくれたロボットのペッパー君と受付の金子さん。
 
 秋田にある「TDK歴史みらい館」で行われた”カセットテープ発売50周年イベント”を終えて帰宅。29日と30日の読売新聞を見て、実家が秋田の農家である私は愕然とした。
 「経済の現場2016」”農業の再生”という記事である。
60ヘクタール近い農業法人の2015の決算書を見ると、主力のコメの売上高は約2、800万、農協から買っている肥料や農薬、農機具の原価償却費、従業員の賃金等は4,500万。経営は国からもらう約2,100万の補助金がないと成り立たないという。さらに驚いたの農水省が行ったコメ生産における日韓比較。10アール当たり生産費は韓国が7万円代なのに、日本は14万円代とある。倍のコストである。そんな窮状なのに全農改革の期限は見送られた。
 民間企業で育った私はこの記事を見て怒りさえ感じた。
 民間企業の場合、期限のつかない改革目標では従業員のやる気が損なわれる。目標は達成されない。農業がここまで窮地にいたったのは、全農の責任であり、補助金をいつまでも続ける政府の責任ではないか・・・。現場で働く実家の為にもシッカリやって欲しい。
 
 TDKはカセットテープをやっていた1980年頃、全社の売上は4,000億、その半分をテープ事業が占めていた。しかし、テープ事業は衰退し、無くなってしまった。現在、そのテープ事業が無くなっても、売上げ1兆円を超える大企業に成長した。民間企業は国の支援などない。自分で長期戦略を考え、みらい図を描き期限を決めて挑戦しなくてはならない。
 
 「TDK歴史みらい館」はロボットのペッパー君が私を迎えてくれた。
 このロボットは同館長、嵯峨さんのこの館、およびTDKの将来に対する”思い”だという。