吉田秀和(2012年、99才で歿。文化勲章受章)亡きあと、音楽評で最も気にいっているのが朝日新聞編集委員の吉田純子さんである。
7月15日、指揮者ロリン・マゼールが84才で亡くなったという記事が朝日新聞に掲載された。追悼記事を吉田さんが書いている。その記事の結びを引用する。
「カラヤンの後継と目されつつ90年、ベルリン・フィル芸術監督の座をアバドに譲った。そのアバドも1月に逝去。アバドは調和の貴さを、マゼールは批判を恐れず己を貫く勇気を。それぞれに人生を賭し、次代への遺言を完結させた。」
短い文章の中でアバドとマゼールという2大巨匠の指揮スタイルと業績を見事に表現している。
私の身近にも素晴らしい音楽表現者がいる。
私は月に2回、隣町にある「龍ケ崎ゲヴァント・ハウス」のCDコンサートを聴きにいく。私の前の席に高野睦さんが陣取っておられる。高野さんの7月8日のブログの一部を引用する。
「ヂャーン、チャイコの4番!トランペットのファンファーレで始るコレもへ短調なのでした。ベルリン・フィルを叱り飛ばしているオザワ!両手で藁塚から藁を引き抜くようにして、音塊を取り出しては投げ、投げては跳ねる。チャイコフスキーが踊っています。(もちろん画像はありません。)いやー、コーフンしました。スピーカーの前のわれわれも大喝采。汗までかいていました。」
私もコンサートの模様を時々ブログなどに書くが、感覚的な印象を文章にするのは実に難しい。
吉田さんや高野さんの文章を読んで、自分の未熟さを感じるとともに、プロの物書きの方々の次元の違いを思いしらされるのである。
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