2013年12月26日木曜日

47年ぶりに出合った「第9」の名演

(「第9」を指揮した77才の巨匠、エリアフ・インバル)

24日(火)、インバル指揮/東京都交響楽団の「第9」にでかけた。

家内を誘ってみたら、付き合ってくれた。
コンサートの前、上野駅のガード下にある「聚楽」で夕食。
コンサートの時くらい、もっと上品なところで、食事をしては?と思うかもしれないが、家内も私も秋田の農村生まれ。しかも年金生活。「聚楽」で充分なのである。
「好きな物、なんでも頼んで。俺払うから」。家内はニコニコ笑って、”ラーメン”を注文した。

「第9」の生演奏は国内外のオーケストラで20回以上、聴いている。
その中で記憶に残っているものといえば、まず1965年カイルベルト指揮・N響。ドイツ訛りのある素朴な「第9」だった。次が1966年マタチッチ指揮・N響。スラブ風の巨大な「第9」だった。第2楽章でさえ、抉るようにリズムを刻み、強烈だった。両方ともNHKホールやサントリーホールができる前で、会場は東京文化会館(上野)だった。

24日インバル指揮・都響の会場も東京文化会館である。席は1階23列中央で申し分ない。
インバルの指揮する「第9」はオーソドックスで明快。しかも重厚で力強い。(第1、2楽章)第3楽章が見事だった。魂が天国に吸い寄せられるような陶酔感。高校時代、兄と聴いたワルター・コロムビア響(1959年録音)のLPレコードを思いだした。
 第4楽章、右側前方のチェロ・コントラバス群が喜びの旋律を奏ではじめる。美しい。
合唱は二期会のメンバー約70名。プロの集団だけあって、その純度の高さに驚く。オーケストラによる嵐のようなクライマックスでもアンサンブルの乱れはなく「第9」は幕を閉じる。
 私にとって47年ぶりに出会った素晴らしい「第9」だった。

年末、全国で「第9」は演奏されるが、このような素晴らしい「第9」を一人でも多くの人に聴いていただきたい。「第9」は凄い、それを作ったベートーヴェンは凄い、音楽の力は凄いということを再認識した一夜だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿