この歌は俳句同人誌「らん」56号に掲載されていた丑丸敬史さんの作品である。
実に野趣豊かおおらかである。子供の頃、我慢できなくて、藪に入って一息ついた事を思い出した。
恐ろしい歌もある。
「ただ一枚賜る賀状母とあり」「抱かれると思う仏の膝寒し」「綱(つな)よごすまじく首拭く寒の水」
この三首、死刑の宣告を受けた死刑囚の歌である。
そして、
「叫びたし寒満月(かんまんげつ)の割れるほど」
この句は冤罪の可能性のある方の絶句とある。
こんな官能的な歌もある。
「やるせなきところに触るる苦うるか」嵯峨根鈴子
最後にこのような含蓄のある句集を紹介して下さった、高野射手男さんの作品。
「バスが来て花野色めくバスは去る」
このバスには誰が乗っていたのだろう。青春を乗せたバスが来て去っていったというのだろうか?
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