(”NHKスペシャル”作曲家・佐村河内ドキュメンタリーの画面)
「運命」、「合唱」の作曲家として有名なベートーヴェンは難聴だった。耳が聴こえないという事は音楽家にとって”死”を意味する。事実彼は「遺書」を書き自殺しようとした。耳が聴こえない暗闇の中で彼は次々と名曲を書く。しかし、晩年は難聴がひどくなり、自分の作った作品を聴くことができなかった。「合唱」の初演の指揮台に彼はたったが音楽はもとより、聴衆の拍手も聞こえない!歌手がベートーヴェンの手をとって聴衆の方を向かせ、彼ははじめて初演が成功したことを実感したのである。
現代のベートーヴェンという作曲家が日本にいる。佐村河内守(サムラゴウチマモル)である。彼のドキュメンタリーが3月29日の「NHKスペシャル」で放送された。
1963年、原爆被爆者を両親として佐村河内は広島に生まれる。17歳で交響曲第1番の作曲に着手したという天才。しかし、この年から難聴となる。ボイラー室にいるような轟音の中で彼は作曲を続ける。彼はこの音を「両親が聴いた原爆の音」と語る。そんな音の闇で難聴以前に聴いた楽器の音をイメージして作曲する。作曲する時は轟音から逃れるため薬を飲む。薬により体力が奪われる。苦しさのあまり、首つり自殺を図るが果たせない。そんな”闇を突き抜けて光明を見出す”作品、「ヒロシマ」が音楽ファンを熱狂させているという。番組の中でその旋律の一部が流れたが、マーラーの交響曲を彷彿とさせる感動的なもののようである。
ベートーヴェンの作品のテーマは「苦悩を突き抜けて歓喜に至る」だった。佐村河内の作品もこれと合致する。彼はまさに現代のベートーヴェンなのである。そして神は二人に非情な運命を背負はせたのである。
食道癌の手術をした指揮者の小澤征爾が復帰宣言、昨日(5日)NHKのテレビに生出演した。(77才)。いつもの小澤さんのように明るい笑顔である。知らない人がみたら、どこにでもいるお爺さんである。しかし、最近収録されたという指揮姿を見て驚いた。その気迫に満ちた表情は別人である。指揮する時、小澤さんにはベートーヴェン(作曲家)が、そして神が乗り移っているとしか思えない。
インタビューの中で小澤さんは、自分の子供達を「うちの餓鬼ども」と語った。餓鬼とは俳優の征悦さん、エッセイストの征良さんを指す。あんな立派な子供達を餓鬼と呼ぶなんて・・・。小澤さんは今回復帰できたのは家族のお陰と感謝する。ビデオ出演した征良さんは「死ぬかと思った」と語った。小澤家は小澤さんが世間で子供達を餓鬼と呼べるほど一心同体なのだと思った。
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