2024年5月8日水曜日

さすが国際ホテルマン(中)三島由紀夫と会う

 
前田さんの話は次第に熱を帯びる。
「学生時代、三島由紀夫と会いました」
え!私も西宮さんも思わず身を乗り出す。
「上智大学時代、グリークラブの指導をなさっていたジョージ・ラヴさんと親しくなりました。私が構内を散歩している時、ラヴさんがムッシュ・マエダはフランス料理を食べたことがあるかと聞いてきたので、ありません。と答たところ、これから食べに行こうというのです。行先は銀座みゆき通りの三笠会館でした。驚愕しました。三島由紀夫、西武の堤社長、シュル・レアリズムの滝口修造、詩人の谷口俊太郎、作曲家の武満徹、評論家の大岡昇平が居並ぶ席に案内されたのです。私は息もできず、料理の味もわかりませんでした。話題はシュル・レアリズムについてでしたが、良く理解できず、一言も話すことができませんでした。ラヴさんはハーバード大学でレナード・バーンスタインに指揮法を学んだ方で、ナマの日本と日本語を学ぶために来日し、文化人と交流していたんです」
「もう一回ハプニングがありました。同じクラスの高橋君が横綱の朝稽古を見に行く気はあるか。というので、そんなの後援会の会長でもないと見れなんじゃない。というとオレは栃錦の親戚だから大丈夫。とボクの顔を見て笑うのです。栃錦所属の出羽の海部屋には千代の山、羽黒山、出羽錦らの強豪が顔を揃えていた。稽古場に行くと大きな火鉢があり、畳の上に座っている顔ぶれを見て驚愕。昨年入団したばかりの巨人軍の長嶋茂雄、俳優の佐野周二ご夫妻と息子の関口宏が座っているではないか。3人とも立教大学のOBである。思わず高橋君に立教と上智では勝ち目がないね。というと高橋君は”なんのこっちゃ”とう顔をしていた」
前田さんから昭和時代の著名人達との驚愕の出会いを聞き驚くとともに、食事をしながら前田さんから直にお話を聞ける贅沢さを噛みしめるのだった。


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