「え、畠山先輩、あのコンサート観たんですか!」若い音楽ファンから羨望の目で見られることがある。それは、1967年、大阪で開催されたバイロイト音楽祭の日本引越公演である。バイロイト音楽祭はワーグナーのオペラ・楽劇を上演する音楽祭。バイロイトはドイツの小都市である。この公演を見るために、毎年夏、世界からワーグナーファンが集まる。
そのコンサートが日本(大阪のみ)で行われたのである。
この時、私25才。独身。大学生の弟を連れて大阪にでかけたのであった。コンサートの印象は凄かった。その後、何回かオペラを観たが、その時の感動を上回るものはない。その時のコンサートはCDで発売されているが、映像は残っていない。
昨年の秋、新潟放送OBの伊藤佳祐さんから、荷物が届いた。中を開けて驚きましたね。1967年大阪公演の「トリスタンとイゾルデ」のVHSが入っていたのである。伊藤さんは大阪公演で偶然お会いし、それ以来お付き合いをしている。このVHSをゲヴァントハウスの中川さんにDVD化(写真・左上)してもらった。観て聴いて驚きました。最高のイゾルデ歌手と言われたビルギット・二ルソンの水晶のように透き通ったソプラノが生ナマしく聴こえてきた。しかも映像つきである。
田中公平さんのブログによると、このコンサートのチケットはSS席が3万円。現在の貨幣価値で、いうと26万円である。私の席はB席。1万2千円、現在の貨幣価値で10万円になる。カーテンコールが1時間半も続いたとある。(写真上はトリスタン役のヴィントガッセンと、イゾルデ役の二ルソン)
友人達、SNSのお陰で消えかけていた56年前の空前絶後のコンサートが蘇った。
大谷選手・ドジャースのチケットが7万円とか韓国歌手を追いかける若者を見聞きして世の中、変わったものだと思っていたが、私も若い頃は同じようなことをやっていたんだと思った。
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