2023年10月13日金曜日

カセット無償契約の功労者は松下幸之助と大賀典雄

 7月11日のブログに「先輩(91才)の証言、カセット事業草創期」9月5日のブログに「TDK磁気テープ事業”暗黒時代”」を書いた。
7月6日、今年91才になる富田哲夫先輩に対する取材があった。私は日本のカセットも含めた磁気テープ事業の生き証人である富田先輩の体験談を是非記録に残したいたいと思い、「ステレオ時代」の澤村編集長に持ちかけ、それが実現したのであった。取材場所はTDK本社だった。(写真・右)
8月31日、取材をセッティングしてくれたお礼ということで、富田さんは私を経堂に招待して下さった。この場で7月6日、語り切れなかったことを熱っぽく語った。また、大腸癌が見つかり近々手術されるという話もうかがった。6回目の手術だという。
9月に入って取材記事の校正がはじまった。富田さんから毎日のように電話があった。病室からだった。「お任せ下さい」といったが、「畠山さん、良く聞いて下さい」。その指摘は文言の訂正にまでおよび、その指摘が的確なのに驚いた。富田さんの執念を感じた。
取材記事が掲載された「ステレオ時代」が10月12日ついに発売された。
記事の中で「カセットの標準化契約が無償になったのは松下幸之助と大賀典雄の功績だった」と富田さんは語っている。私は今まで標準化契約を無償にした「フィリップスはさすが懐が深い」と感心していたが、実は違っていた。富田さんはフィリップスの出先機関であるIDCCと大賀典雄が対峙した現場にテープ工業会会長・高尾泰弘(TDK常務)のカバン持ちとして立ち会ったという。まさに‟生き証人”である。
富田さんは慶応ボーイ。部下である私にも謙虚であった。


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