2022年5月25日水曜日

白金台のセレブと工学博士(中)TDKの4大イノベーション

 岡本さんは恩師、武井 武が発明したフェライトの話に続いて、工学博士である岡本さんの視点からみたTDKの4大イノベーション(技術革新)について語った。
 

1番目はなんといっても日本人が発明したフェライトの世界初の事業化である。フェライトは磁界(磁石)に触れると磁石になり、磁界を取り去ると元に戻り磁界がなくなる。また磁力が強く、電気抵抗も大きい(電気を通しにくい)。テレビ、ビデオ、ゲーム機、パソコン、自動車等、あらゆる電気機器関連商品に使用されている。
 

2番目はチップインダクタの発明である。インダクタは流れる電流によって形成される磁場にエネルギーを蓄えることができる受動素子でコイルとも呼ばれている。TDKはこの素子を数ミリ角のチップにすることに成功。続いてバリスタ(電子・電気回路の半導体素子を過電圧から保護する)等もチップ化する。手の平サイズでパソコンの機能を搭載したスマホの登場には半導体とともに電子部品のチップ化が大きく貢献している。
 

3番目はカセットテープの高記録密度化である。TDKは日本で初めてカセットテープを生産。世界初の音楽用カセットSD、独自開発のアビリン磁性材を使用したハイポジション用SA,さらにはカセットテープの最高峰といわれるメタルポジションMA-Rを開発。会話の録音用と言われたカセットを記録密度を上げることで、オープンリールのクオリティまで高めた。(写真はMA-R)
 

4番目はハードディスク用のヘッドである。留守録用のビデオは勿論、パソコン、スマホにもハードディスクは内臓されている。50年間で、ハードディスクの記録容量は1千万倍になった。ハードディスク用のヘッドは当初IBMがシナリオを作って開発を進めてきた。その後大手パソコンメーカーも内作を進めたが脱落。TDKの独走になった。ハイエンドのヘッドはTDKでないと作れない。


0 件のコメント:

コメントを投稿