2022年4月10日日曜日

山田洋次監督「東京家族」


 昨夜は妻と一緒に楽しめるようなテレビ番組がなかった。
留守録一覧を見たら、最後の方に「東京家族」があった。
妻が「前、観たじゃない」と言うかと思ったら、身を乗り出したので、最後まで一緒に楽しんだ。
二人とも高齢になり、記憶が薄れる年代である。昔の名作が何度も楽しめるのは高齢ならではのメリットかもしれない。
ストーリーは瀬戸内海の田舎からでてきた老夫婦が東京に住む息子(西村雅彦)、娘(中嶋朋子)家族や友人を訪ねるというもの。
老夫婦役を演じる橋爪功と吉行和子がいい。
老夫婦が東京へ着くと、タクシーに乗って、息子の家へ。そこを右、そこを左というと、運転手が「大丈夫、ナビを入れましたから」
そういえば、お義父さん、家へくる時、近所まできて迷ったことあったわね。と妻。40年も前の話である。父はわが家に毎年のようにきてくれた。父も嬉しかったと思うが、私にとっても胸が熱くなる思い出である。
橋爪は東京で羽振りのいい生活しているという友人(小林稔侍)と会う。友人はいつも「東京へきたら家に寄ってくれ」と言った。実は羽振りがいいというのは見栄であり、居酒屋で会うことになる。禁酒している橋爪だっが「これが最後の酒になるかもしれない」という小林に勧められ橋爪は盃を差しだし酔い潰れてしまう。
 息子、娘家族はそれぞれ忙しく、慌ただしい旅行になったが、救いは次男(妻夫木聰)の
恋人(蒼井優)に会えたことだった。
 吉行は心配だった次男に恋人がいたこと知り、心満たされる。が、その夜、倒れ翌日急逝。島での葬式の後、慌ただしく帰る長男、長女家族。その後も蒼井は橋爪の世話をする。それまで無口だった橋爪は蒼井に「次男をよろしく」と頭を下げ、吉行の形見である時計を蒼井に渡す。
 映画を見ながら、何度か落涙。妻を気にしながらハンカチで拭いた。

「東京家族」は2013年制作。1953年制作「東京物語」(小津安二郎監督)のリメーク作である。

 


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