2021年12月25日土曜日

雪の秋田、取材旅行③世界のカセットTDK

 今回の取材応対者は畠山、内野、吉野の3名。
電子部品メーカーのTDKがカセットテープというコンシューマ商品で、日本のソニー、アメリカの3M(スコッチ)、ドイツのBASFという大メーカーに立ち向かい、世界一になった戦略を語る。

先頭バッターは畠山。畠山は1967年から1986年まで20年間、カセットテープの商品企画等を担当。世界最初の音楽用カセットSD(ノーマルポジション)SA(ハイポジション)MA-R(メタルポジション/写真)の開発に携わる。その畠山、秋田出身の高卒。技術には東京工大、営業企画、海外には早慶出身のエリート社員が顔を揃える。
畠山の上司は、畠山がNHK交響楽団の会員という大のクラシックファンであり、ルボックスという30万もするオープンリールデッキでFM録音をしていることを知り”使える”と思ったらしい。
畠山は語学もできないが、音と音楽は世界共通。これが幸いした。

2番バッター内野さんは、早稲田出身。陰の主役。「畠山の言う音の印象を言葉にする」。コピーライターである。たとえば、大ヒットしたADカセット。畠山がこれはハイ上がりでクラシックには向かない。というと「つき抜ける高音の冴え」というキャッチフレーズをつけて、ジャズ・ポップスファンに訴求する。宣伝のキャラクターにはトランぺッターのマイルス・ディビスを起用。(写真・下)
3番バッターは畠山の後、商品企画を担当した吉野さん。吉野さん米国勤務時代から広告、商品企画を担当。米国勤務時代は宣伝にスティビー・ワンダーを起用。目の見えない彼をサポートした。CDRの登場で、ハイポジション、メタルポジションとうマニア向けの商品の売上が急減。その対応に時間別対応カセットの開発を試みるなど苦労した。
TDKは部品メーカーとして、技術、製造、販売のノウハウはあったが、コンシューマ商品のマーケティング戦略(商品企画、広報、宣伝)の経験がない。その部門で3人は伸びのびと働いた。熱く語った3人の話は来年2月発売の「ステレオ時代」に掲載される。
1988年、カセットテープの絶頂期、TDKのカセットテープの売り上げは700億円/年。世界NO,1になった。「世界のカセットTDK」である。その理由は「音」であるが、走行・耐久性等信頼性でも定評があった。中近東では「TDKカセットはラクダで運んでも大丈夫」といわれた。
 1時から始まった取材は4時に終了。外はもう暗い。しかも雪。澤村さんと、山田さんはレンタカーで、山形に向かい、山形から新幹線で帰るという。われわれ3人はタクシーで象潟に向かう。

2 件のコメント:

  1. しかしこれ程の人は鷹農出身で先輩が一番、中嶋監督が2番です!来年も宜しくお願い致します!

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