2019年8月17日土曜日

オペラ「ローエングリン」

お盆休み、孫(中学一年)が宿題持参で来宅。冷房の効いた一階のリビングは孫に開放。小生は2階の冷房付の自室で久しぶりにオペラDVDを鑑賞した。演目はワーグナー作曲「ローエングリン」。2006年バーデンバーデン祝祭歌劇場ライヴ収録。
 DVDを再生すると、神秘的な序曲がはじまる。
ケント・ナガノ(指揮者)談ー歌劇の序曲の中でも有数の名曲です。第1に美しさ。雰囲気を描出する独特の手法で作品中の多くが紹介されます。技術的に難しいのは単に雰囲気のある空気感を出すことではなく、”無から生まれるような響き”です。紗(しゃ)のかかった遠い響を維持するために弦は高音を弾き続けます。
ニコラウス・レーンホフ(演出)談ー前奏曲では一条の光の中にエルザが見えてきます。架空の道を通り前方へ歩いてきますが(写真)これはギリシャ悲劇の精神に基づいております。
ソルヴェイグ・クリンゲルボルン(ソプラノーブラバンドのエルザ姫)談ー題名はロエングリン(聖杯王パルジファルの息子)ですがドラマの中心はエルザです。出ずっぱりなんです。第2幕の最初の10分休むだけです。(上演時間206分)水も飲めなし、トイレにも行けない。ただ、ズーッと舞台に居ますから流れには乗りやすい。私たち歌手はチェスの駒です。それぞれ違う役柄です。正義の味方もいますし、悪役もいます。レーンホフは各駒を全体の構図に収めるのです。動きが50cmズレても怒声が飛んできます。われわれ歌手は彼が描く絵を想定し、様々な絵を見せながら彼の要求に応え、しかも自分の個性を役に反映させていきます。
「ローエングリン」凄かったです。行き詰るドラマでした。エルザを演じたクリンゲルボルンではありませんが、水を飲むのもトイレにい行くのも忘れてしまいました。
「おじいさん、宿題できたよ」という孫の声で吾にかえりました。

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