元日の読売新聞・文化欄に「指揮者小澤征爾さんが語る」という記事が掲載された。
顔写真が凄い。「まだやり残したことがある!」という必死の形相。その写真を見て、小澤もカラヤン、バーンスタインに並ぶ巨匠の域に達したのでは、と感じた。
タイミングよく、小澤が水戸室内管弦楽団を指揮したベートーヴェンの第9が発売された。このCDは2017年10月におこなわれた同団の第100回定期公演のライヴ録音である。といっても小澤は体調が悪く、この公演で小澤が指揮したのは後半の第3~5楽章だけだった。これにセッション録音による前半の第1、2楽章を組合せたものである。
CDを聴いて、いささか拍子抜けした。40数人という小編成のため、スケールが小さい。(会場も定員680名の中ホール)でも、何かあるはずだ。日本が生んだ世界的な指揮者である。聴きこむと、第9の楽譜をみているようである。小編成であるため、名手達の管楽器や打楽器、独唱も実に良く聴こえる。演奏も奇をてらわず、粛々と進む。音楽評論家の増田良介氏は語る「80才を超えた小澤の音楽は深みを増し・・・などと書きたくなるが、小澤征爾の音楽は根本的に変わっていない。しなやかで溌剌としている」
良い機会なので、小澤の先生でもあるカラヤンを聴く。1977年ベルリンフィルを率いて普門館で演奏したライヴである。この録音、機材のトラブルがあったということで、万全の音ではないのだが、凄い迫力である。普門館は5,000人収容の巨大ホールだが、大ホールにベルリンフィルと大合唱の音が響きわたる。
終わってからの拍手も小澤の方が数人のブラボーと歓声なのに対し、カラヤンの方は津波のような拍手が沸き起こる。
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