2019年1月31日木曜日

盲目の天才ピアニストとカセット

年末録画しておいた「2018年音楽ハイライト」を見た。”平成のヒーロー、ヒロイン”のコーナーで盲目の名ピアニスト、辻井伸行が登場した。辻井さん1988年生まれのピアニスト、作曲家。2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人として同大会初優勝。世界の音楽界の脚光を浴びる。
辻井さんは出生時から眼球が成長しない「小眼球症」と呼ばれる原因不明の障害を負っていた。その障害を克服して名ピアニストになったのである。番組を見て、その陰にカセットテープがあったということを知った。辻井さんの指導者はカセットテープに右手と左手の奏法を録音して聴かせたという。そのカセットテープの数は200本。画面を見るとほとんどTDKブランドで
ある。現役時代、カセットテープの商品企画を担当していた私としては感慨深いものがあった。カセットはフランス語で宝石箱という意味だが、辻井さんにとってカセットはまさに音の宝石箱だったに違いない。

テレビ放送とカセットテープといえば、2018年の「クローズアップ現代」でオウム真理教の特集があり、この中で麻原の肉声が放送された。この時のテープもTDKブランドだった。(人間浴「ADカセットに記録されていたオーム・麻原の肉声」2018,7,31)
平成を語る上でカセットテープの存在は欠かせない。



2019年1月28日月曜日

音元・和田社長とTDK・澤部相談役

 
21日、(株)音元出版の和田社長にお供して、日本橋にあるTDK本社をたずねた。澤部相談役にお目にかかるためである。
 和田光征さん。1945年生まれ。74才。中学の頃から編集大好き。大分から上京。電気業界の音元出版に入社。昼は営業、夜家に帰って午前3時まで編集の仕事の日々。これが初代岩間社長の目に留まり39才で社長就任。バブル崩壊、リーマンショック等を乗り越え、1999年ポータルサイト「ファイル・ウェブ」をはじめる。現在、月間訪問者180万、ページビュー1,200万に成長。『Net Audio』誌は発売以来、アマゾンの「趣味・その他」カテゴリで一位を獲得。雑誌とwebを連動した高収益出版事業を展開している。
 澤部 肇さん。1942年生まれ。77才。TDK六代目社長。元、旭硝子、帝人、野村証券、日本経済新聞、ジャパン・ディスプレイ役員。現在、TDK相談役、日本事務能率協会理事、早稲田大学評議委員会・会長、荏原製作所役員、ルクセンブルグ大公国名誉総領事。
 三井高島屋ビル(写真)の高層階にあるTDK役員フロアーに降り、超一流ホテルを連想させる白亜のエントランスに驚く。さすが日本のリーディングカンパニーに成長したTDKの本丸である。
 
 和田さん、澤部さん、二人の経営者による対話の共感点は次の三つだった。「創業の精神を大切にする」「異論に耳を傾ける」「利益も大事だが、核心はハート」。
 階下にある高島屋のレストランで澤部さんにランチをご馳走になる。澤部さんは別れる時、下りのエレベーターに乗った二人の姿が見えなくなるまで深々と頭を下げていた。「稔るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」という言葉が浮かんだ。
 「澤部さんは少年のような方ですね」と和田さんがつぶやいた。

2019年1月20日日曜日

先生!膀胱のあたりが痛いんです。


前から頻尿だった。夜、5~6回、小用に立つ。定期検診では異常なし。頻尿でも夜はグッスリ寝れるし、問題はない。ただ、2~3ヶ月前から時々、膀胱の左付近がヒリヒリする。
1月9日、新年グランドゴルフ大会。この時ヒリヒリだった部分に鈍痛を感じた。さらに左足が思うように運べない。これはマズイ。12日、図書館に行く。新刊コーナーを見たら「前立腺歌日記」という本が目に入った。前立腺手術の手記である。実に生ナマしい。前立腺は医師が患者の肛門に手を差し込み触診するという。
 私は生まれてから大病をしたことがない。手術の経験もない。今回の痛みがガンだったりしたらどうしよう。3月には77才の喜寿を迎えるので人生に悔いはない。苦しくなければいつ逝ってもよい。しかし待てよ、来週は出版社の社長にお目にかかる、来月は音楽評論家にお目にかかる約束がある。まだ、社会のお役に立てる・・・。その前に倒れるわけにいかない。なによりも母(101才)より先に逝くわけにいかない。
 15日、セントラル病院の泌尿器科に行く。「初診です」と受付に行くと「3年前にいらしてますね。その時の先生が今日の担当です」3年前に病院にきたことなどスッカリ忘れていた。下半身以上にテッペンの退化が進んでいる。
 入念な腹部の超音波検査と尿検査。先生の見立て。「前立腺も大丈夫です。薬をだしますから、それを服用して下さい。2ヶ月先またいらして下さい」良かった!いただいた薬は「ユリーフ」。″薬のはたらき″欄にはこう書かれている。「前立腺肥大症によって生じる排尿障害を治す薬です」。
 ところで、「前立腺歌日記」。実に面白い。手術後「勃つのか勃たないのか」「あの瞬間だけのために、男たちはなんべんでも、恋をする」・・・。作者の四元氏は家族持ち。奥様もお嬢様もいらっしゃる。良くここまで赤裸々に描くわと脱帽!手術した場所がドイツ。医師はドイツ人だが、スタッフは黒人などの移民。海外の医療業界事情も手にとるようにわかる。
 病室から眺める人間模様、スマホ時代の入院生活も実感できる。
 悲壮な入院生活を美しい文章がかばう。

 四元康祐(よつもと・やすひろ)1959年大阪府生まれ。82年上智大学文学部英文科卒業。81年アメリカに移住。90年ペンシルベニア大学経営学修士号取得。94年ドイツ移住。 講談社。

2019年1月12日土曜日

銀座・日産ショールーム&熊谷組OB

7日(月)2019年、初めての上京である。今年も月に一度は世界の観光スポットである銀座に行こう。銀座で目につくのはやはり日産のショールーム(写真)である。今回もモダンな車が展示されていた。日産ガンバレ!

10日、私が住んでいる刈谷地区の新年会(ベテランズクラブ)である。10:30分開催。10:15分、会場に着くと会場は既に満員。知っているメンバーのいるコーナーは満席である。止むを得ず、前列中央の役員、関係者のコーナーの空席に座る。これが正解だった。左隣は片岡千恵蔵のような威厳のある紳士。「現役の頃は何をされていたんですか?」と聞くと、「ダムの建設です」。スマホでダム工事業者を検索「ヒョットすると熊谷組ですか」「そうです」。隣の紳士、92才。現役の頃、関電トンネル等のダム工事をやっていたという。「現在、営業利益では鹿島建設を超えてますよ」とスマホ情報を伝えると「ホホ―ッ」と笑みを浮かべた。
 右隣はご婦人。彼女も遅れてきたので、嫌々ながら男性だけのこのコーナーに案内された。ビールを進めると「いただきます」。話を聞くと、82才、独り住まいだという。「ご主人亡くなられて寂しくないですか」と聞くと「チットも」。うちの家内も私が先にいっても、こんな調子かな・・・、とガッカリ。が、話がはずむと、こんな調子。「主人は窓枠職人だったんです。酒が好きでね。うちでは飲まず、毎晩、”鳥勝”(居酒屋)通い。いつだっか、鳥勝の後、橋の下で知らない人と飲んで朝帰り。でも優しい人でした。私は主人の酒代をうかすために下着以外は自分の着るものを買ったことはありません」ご主人の話になると止まらなかった。娘さんが近くに3人いるというのでホッ。
 新年会の主役はカラオケ。司会は女性役員。(最近、会の運営の主役は女性である)熊谷組OBの紳士も昭和時代のカラオケを歌い喝采を浴びた。

 (後日談)ベテランズ役員からの情報。「熊谷組と書かれた紳士、あの方お役人です」とのこと。なるほど・・・。


2019年1月6日日曜日

元日の新聞と年賀状ー巨匠 小澤征爾・・・。

1月1日 日本経済新聞と読売新聞をみる。年末、株が2万円を切った。が、経営者の景気見通しは概ね堅調。証券市場は中国とアメリカの覇権争いに過度に反応しているようである。いずれにしろ、国も個人も喧嘩両損である。
 
私が最もインパクトを受けた記事は読売新聞文化欄に載った「指揮者 小澤征爾さんが語る」である。まず、小澤の顔写真(松田賢一撮影)が凄い。小澤83才、昨年は大動脈弁狭窄症などで、舞台の降板が続いた。写真からは「まだやり残した事がある!」という必死の形相が読みとれる。
 個人的に、私は小澤を巨匠とは思っていなかった。ベートーヴェンでもブラームスでもやはり、欧米の指揮者が一枚上手だと感じる。しかし、この写真をみて、小澤は巨匠の域に達したと感じた。彼の師であるカラヤン、バーンスタインと並ぶ境地に達したと思う。小澤が指揮台に上がっただけで、腕が動かなくても、眼光によってオーケストラは一丸となり、最高のモーツアルト、ベートーヴェン、ブラームスが鳴り響く。という確信を持った。

 岩手の歌人、伊藤幸子さんから年賀状をいただいた。
 「終戦の年に生まれて、平成の終わりを迎えました。昨秋、戦なき世の七十二年に感謝して、神宮の森を歩きました。」にはじまる印刷文に添え書きがあった。「長男が春から東北工業大の教授に就任することになり喜んでいます。(48歳、工学博士)週一、一千字の拙コラムは六百回を超えました。」
 幸子さんは16才の時、死んだ父を乗せてリヤカーを曳いた。平成8年同じ道を母のなきがらにつきそって病院の寝台車に載った。平成10年、夫に先立たれた。
 ご主人は高校時代の友人。稀にみる秀才。新聞部の部長だった。
(孫6人は1日来宅。初詣は4日、常陸国出雲大社へ)