2016年4月16日土曜日

「東京物語」。笠智衆の年齢に近づいた自分



 映画鑑賞のオーソリティ、高野睦さんのメールを拝見した。小津安二郎監督の「晩春」(1949年)について見解を述べておられる。そういえば、私も「東京物語」(1953年)を録画していたのを思い出した。忙しさに紛れて録画したままになっていた。
 忙しさも一段落。「東京物語」を再生した。家族の物語を淡々と描いている。私は昭和17年(1942)生まれ、映画と似たシーンが実生活で次から次へと登場した。生まれた家は農家だったせいもあり、広かった。親戚が来宅すると、泊まっていくのが当たり前だった。夜は大宴会となった。「東京物語」の場合、老いた夫婦が東京に住む子供家族を訪れるという設定だが、泊まるところは旅館ではなく、子供の家である。そこで、お互いに思いながらも、そうもいかない現実が次々と発生する。子供達とすれば、久しぶりにきた両親を暖かく迎えたいが、仕事に追われる現実が、障害となる。
 こういった事情を配慮してか、日本が豊かになったためか、最近では、子供の家を訪れても、また、実家に行っても泊めてもらうという事がない。泊まる場合はホテルである。親族といえども、適当に距離を置く。昭和時代と平成時代では家族の付き合い方も変わってきているが、本質的には変わっていないというのが私の感想である。
 私の家族では、弟が6月に母の「白寿の会」を開く準備を進めている。その一環として、孫達の祝いのメッセージを募集しているのだが、私の子供達も祖母に対して立派なメッセージを書いている。外見的な付き合い方は変わっても、家族を思う気持ちは変わっていないと思うのである。
 しかし、いずれにしろ、第1戦を退いてからの人生は寂しいものである。というのが70才を過ぎた現在の実感である。自分も笠智衆が演じる老人に近づいてきた・・・。ジッと海を観たり、山を観たりする時間が長くなるだろう・・・。ヒョットしたらパソコンかな・・・。

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