2016年2月10日水曜日
日台協同開発のスピーカを試聴
TDK時代、一緒に仕事をしていた藤井健さんから電話をいただいた。
「先輩、開発中のスピーカーの試聴をしてくれませんか?」という電話だった。
藤井さんとは昭和50頃からTDKカセットテープの商品企画を一緒に行った。原音再生を基本とし、他社商品との聴感比較を行い発売する商品を決定した。結果、TDKは世界のカセットNO,1となった。
今、私は73歳、音楽・オーディオから遠ざかっている。
藤井さんは64歳。台湾の「BenQ」ブランド商品の音響産品顧問の仕事をされているという。
その商品を見て驚いた。辞書である「広辞苑」より小さい。正面の高さ175ミリ、幅78ミリ、奥行135ミリである。(正面の両翼を広げると275ミリとなる)*写真は両翼を左右に広げた状態。
こんなスタイルで本当に良い音がでるの?
私はクラシック派なので、クラシック音楽を再生してみる。左右の広がりはないが、音場定位はシッカリしている。また音は繊細である。小型スピーカーの場合、「大きい音で鳴らすのを主眼とするスピーカー」が多いのに、このスピーカは原音をリアルに再生しようとしている。これは藤井顧問のポリシーだと思った。TDKカセットのサウンドを決める時もわれわれはリアル再生を基本にした。その精神を踏襲しているのである。
カセットテープの場合、録音できる周波数帯域が狭いので、帯域が狭くともバランスの良い音とか、高域に強い音とか、テープに特徴を持たせたが、デジタルサウンドの場合、理論的には録音特性はパーフェクトなはずである。ところが、実際には筐体内部のノイズや機器を接続するコードなどで、信号ロスが発生し、アナログ以下の音になってしまう場合もあるという。
この点、藤井さんはアナログカセットの開発からのノウハウの蓄積があるので心強い。
今後の「BenQ」ブランドのオーディオ機器に期待したい。
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