2012年9月21日金曜日

インバル・都響、遂に昇天!

音楽雑誌のレコード評を見ると、インバル指揮・東京都交響楽団のマーラー演奏の評価が高い。
海外の名指揮者・オーケストラのそれを押しのけて”特選”である。

ならば、一度は聴かねばならぬ。20日、先日(13日)二期会の「パルジファル」で興奮した東京文化会館にいそいそと出かけた。会場へ着くと、チケットは完売とある。さすがである。早目にチケットを購入しておいて良かった。(4月26日、購入)

東京都交響楽団定期演奏会Aシリーズ「新マーラー・ツィクルス」の初日である。
曲目は「さすらう若人の歌」と交響曲第一番「巨人」。
初めて聴く、インバル指揮の都響の演奏。都響といえば、中型の行儀の良いオケというイメージだったが、今日の都響は音に深みがある。しかも、演奏への集中力が並みではない。馬力という点では国内外のオケで都響を上回るオケはいるだろう。しかし、楽員一丸となってマーラーに取り組む気迫は尋常ではない。
「巨人」の第4楽章は激しい音楽である。世の終わりを告げるかのように絶望的である。子供の頃、ニュース映画を観た時、大火災発生のバックにこの曲が使われていた。しかし、第4楽章の終幕は勝利の讃歌となる。オケが一丸となって、讃歌を歌い上げる。前面に陣取ったヴァイオリン奏者の林立する弓が矢のように上下する。8名のホルン奏者が総立ちとなる。2人のテンパニー奏者が大上段からステックを振りおろす。インバル・都響は大音響ととも浮上し、昇天。地上から怒涛のような拍手が沸き起こる。

同じコンビによる「巨人」は16日、横浜でも行なわれた。
その時の演奏を音楽評論家の東条碩夫氏はこう評した。「一歩踏み外せば深淵に落ちかねないその危うさの、ギリギリのところで踏み止まり、それがまた絶妙のバランスを保っているのが最近のインバルのマーラーだろう。」

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