日本の歌手、指揮、オケによるワグナーの「パルジファル」が本場バイロイト音楽祭のそれと比較しても遜色ない。と書くと、音楽ファンの失笑を買うことはわかっているが、私は本当にそう感じた。
13日、上野の東京文化会館で二期会60周年記念公演ということで、「パルジファル」の初日が幕を空けた。開宴前、拍手が沸きおこったので、ファンファーレでも鳴るのかと思って、後ろを振り返ったら皇太子殿下のお出ましだった。
指揮者の飯守泰次郎が登場。前奏曲がはじまった時、神秘的で温かい響に引き込まれた。そして、グルネマンツを演じる小鉄和広の堂々たる歌唱を聴いて「なんだ、なんだ」と血が騒いだ。その原因は8月にNHKから放送された、今年のバイロイト音楽祭の「パルジファル」を上回っているように聴こえたからだ。昔は藤原歌劇団や二期会が公演するオペラは「学芸会」と揶揄されたものだ。
17時からはじまった公演が終了したのは22時。私は日本人の演奏しているワーグナーという先入感を忘れ、スッカリ、ワーグナーの虜になっていた。そして熱唱した歌手陣、指揮者達に惜しみない拍手を送った。
それにしても空席が多かった。恐らく、不況の中、日本人の演奏するワーグナーに行ってもしょうがないというオペラファンが多かったのではないか。
5万、6万も払って外来のオペラ公演に行けない年金生活者の私にとって、国内オペラ団の優れた公演はありがたい。
オペラ公演に先立って、NHKでコンサートライヴ録音一筋の辻本さんにお目にかかり、昼食を共にした。単なる音楽ファンにとって、辻本さんは神様のような存在である。
(オペラ開演前、文化会館テラスでビールを一杯。向こう側は西洋美術館)
なお、12日は現役時代にお世話になった川上さんが79才で亡くなられた。14日お通夜、15日、告別式。川上さんを慕う方々が、ホテルに泊まって酒を酌み交わし、川上さんを偲んだ。
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