(右上はテイ子さん。「TDKタイムズ」の座談会で。当時編集担当だった小生が撮影・昭和40年頃)
私は18才で秋田にあるTDK・平沢工場(にかほ市)に入社した。工場に伊藤テイ子さんという理知的な顔立ちの保健婦さんがいた。
8日、ゴルフにでかけて帰宅すると、テーブルの上に分厚い茶封筒が乗っている。伊藤テイ子さんの自分史「山吹の花咲くみちから」である。396頁の大作である。伊藤さんは間もなく80才になるという。ご高齢にもかかわらず、よくぞ、自分史をまとめられたと、その熱意に敬意を表したい。
その熱意を引き出したのは46才で早世した夫・八重治への愛情である。大作の半分以上は八重治の日記である。児童総代の秀才だった八重治の日記の表現は鮮やかである。八重治は結核を患っていたので、日記の内容のほとんどが闘病生活の苦悩だが、ふる里の山や草花に対する愛情にも溢れている。「鳥海山、今日はきれいだなあ。ふっくらとふくらんだ山脈は、いかなる處女の肉体でも、あんな輝かしく崇高なる美は発揮しえない」(27才、闘病生活中の日記より)。後年、八重治はふる里の自然や人情を歌いこんだ”にかほ音頭”の作詞もしている。
著名な作家によって書かれた小説も面白いが、自分史には「真実」がある。できるだけ多くの方々に伊藤テイ子さんの自分史ガ読まれるよう期待する。戦中の出来事は歴史の証言としても価値がある。
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