2025年7月18日金曜日

山陰の旅(2/3)足立全康が命をかけた美術館

11日、江戸・明治の建造物が立ち並ぶ街並み「倉吉白壁土蔵群」を観た後、島根県の県庁所在地がある松江へ。グループより離れて、松江城の入り口にある蕎麦屋で昼食。その後、天守閣に登る。午後、松江から安来へ。20キロほど田んぼ道を走って足立美術館に到着。美術館の外観はなんの変哲もないのだが、会館に入った途端「ワア」という歓声が上がる。眼前に見事な日本庭園が広がる。アメリカの専門誌による日本庭園ランキングで22年間連続第一位にランキングされた庭園である。
この庭園を創ったのは安来市出身の実業家、足立全康(ぜんこう)氏(1899~1999)*写真。実家は農家。尋常小学校卒業後、炭を大八車に乗せ商売をはじめる。第2次大戦後、不動産事業で財を築く。1947年(昭和22)名古屋で開催された横山大観展で感銘を受け、それが美術品収集への情熱に広がる。「庭園もまた一幅の絵画である」の見解のもとに1970年(昭和45)、71才の時、財団法人足立美術館(5万坪)を設立。「故郷へ恩返しをしたい」「未来を担う若い人たちに生きた絵を、素晴らしい庭をプレゼントしたい」という思いだった。しかし、開館から10年余りは入館者は伸び悩み、閑散とした館内を一人歩く足立全康の姿があったという。
足立美術館は足立全康が命をかけたロマンの結晶である。それを味わい尽くすには一度の旅ではムリである。それは壮大で果てしない。

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