11月20日のブログ「スマホの中身は7~8割が日本製。140億で買収した会社の売上が1兆円に!」をご覧になった方から「TDKさんバッテリーやってたんですか?」という感想をいただいた。スマホのバッテリーのシェア40%というのは凄いことなのだが、認知度は低い。その一因はバッテリーがTDKの自社開発ではなく、買収した中国の会社が生産しているというところにある。
しかし、自社開発でなくとも、17年前、揺籃期にあった中国のバッテリー会社を買収したという先見性はもっと高く評価されるべきだと思う。買収した会社から分離した会社は自動車用バッテリー部門で年間10兆円規模の売上を上げている。日本の一流企業がこの会社を目標に熾烈な開発競争を行っている。買収を決断したTDK6代目、澤部社長は「宝くじ」に当たったと謙遜されているが、もっと胸を張るべきである。
TDKは今年創立87年目となる。フェライト等の自社開発の電子部品も1兆円の大台に乗った。8代にわたる社長が87年かけて達成したのである。それはそれで立派であるが、澤部さんが買収したバッテリーの子会社は17年、3代の社長で1兆円を達成したのである。
ところで、TDKにはもう一つ「宝くじ」もののエピソードがある。それは「世界陸上」である。「世界陸上」は「ワールドサッカー」「オリンピック」と並ぶ3大スポーツイベントといわれている。TDKは「世界陸上」で冠スポンサー並みの扱いを受けている。男子選手のゼッケンはTDKのロゴ、100メートルスタートの背後には巨大なTDKの看板が掲示される。この背景には1983年の第1回大会から一貫して世界陸上を支援してきたTDKと世界陸連の信頼関係がある。日本の電通の力も大きい。
電通は現在オリンピックからみで、マスコミに取り上げられているが、私が接した電通マンの皆さんは礼儀正しく優秀だった。「世界陸上」については改めて記してみたい。