2013年10月10日木曜日

ブーニンと佐藤卓史

ブーニンってピアニストだよね、ところで佐藤卓史って誰?実は佐藤卓史もピアニストなんです。
ブーニンは1966年モスクワ生まれ、17才でロンティボーコンクール・グランプリ受賞。19才で国際ショパンコンクール優勝の天才である。
佐藤卓史は1983年秋田市生まれ、2006年ミュンヘンARD国際コンクール特別賞、2007年シューベルト国際コンクール第一位。

 昨日(9日)、東京文化会館小ホールで佐藤卓史のデビュー10周年記念リサイタルがあった。曲目はベートーヴェンの4大ソナタ「悲愴」「ワルトシュタイン」「月光」「熱情」。開演前、文化会館の資料室でブーニンが演奏した同4曲を聴く。これがベートーヴェンかと思えるような流麗な演奏である。それにしても各曲の終楽章は迫力満点。この4曲を一晩で演奏するなんてとんでもないと思った。

 佐藤卓史の演奏を聴く。最初の「悲愴」がはじまった途端、ベートーヴェンの響がした、ベートーヴェンと真っ向勝負の演奏である。この分だと「熱情」ではどうなるうだろうとワクワクした。
 
会場で配布されたプログラムを見ると、佐藤卓史自身が曲目の解説をしている。恐らく音楽評論家などに任しておけないという思いが彼にあったのであろう。その解説を読むと、ピアノ曲こそベートーヴェンの創作の原点だという。また、第一主題を終楽章まで展開して全曲を統一していく構造には驚くと書いている。
 楽曲の透徹した解釈による佐藤のベートーヴェンは一瞬の揺るぎもなく「熱情」が終わると会場は熱い拍手とブラボーの声に包まれた。

 知情意でいうと、ブーニンの演奏は情が勝り、佐藤卓史のベートーヴェンは知、意が勝っているといえよう。いずれにしろ、これからの佐藤卓史は楽しみである。

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