2017年2月16日木曜日

57歳で逝った友人を偲ぶ

(左から小生、山谷さん、伊藤君)

 毎年2月、高校時代の文芸部OB・新年会が開かれる。今年は24日、銀座・三笠会館。幹事は山谷矩子さん、伊澤時子さん、簾内優子さん。女性陣である。以前は私が幹事をやっていたのであるが、雑事が多いという事で辞退。新年会は中止になるかと思っていたら女性陣が幹事を引き継いでくれた。有難い。
高校時代の文芸部というと平成10年、57歳の若さで逝った伊藤博君を思い出す。彼は母校でもトップの成績だった。文芸部員である一方で新聞部部長としても活躍した。70半ばの高齢になると、伊藤君の思い出も薄れてくる。ただ有難い事に伊藤君の奥様は有名な岩手の歌人である。幸子さんの歌集「桜桃花」をめくって、伊藤君を偲びたい。

〇夫の里わが里ともに誇りつつ水旨きこと他には譲らず
〇機械油の匂ひ残れる夫の指みごもりしこと告げる夜に著(しる)く
〇荒海の香りまとひてはたはたは送られて来ぬ秋田阿仁より
〇予定日の近まりくれば夫も母も名付あれこれ言はなくなりぬ
〇外材を求めて発ちし夫の机に航空写真のジャングル青し
〇友送り戻る四階の踊り場に夫はすばやく吾を抱きぬ
〇夫も子も新しき地にとけこみて屈託もなしわがこもるうち
〇夫と子の深く眠れる枕辺の闇の鏡に髪ほどきゆく
〇新婚の世帯のごとく転勤の夫と炊事の諸道具を買ふ
〇ある時は怨憎会苦と思ひしも単身赴任の夫をさびしむ
〇円株価急暴落の四月二日娘は初出勤す証券会社に

博君は秋田出身、幸子さんは岩手出身。博君は木材会社に就職。相馬、浪江、米沢、等々、関東、東北の出張所を渡り歩いた。

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