昨日(28日)、会社OB会のパソコンクラブが東京・浅草橋であった。勉強会は6時に終了。6時から懇親会があったが、これを断念して錦糸町に向かった。
19時15分から錦糸町のトリフォニーホールで、上岡敏之指揮の新日本フィルのコンサートが行われる。曲目はリヒャルト・シュトラウスの「町人貴族」と「家庭交響曲」の2曲。当日券売り場で4,500のC席を購入する。C席はエレベータで5階である。要するにビルの5階からステージを見下ろす感じになる。
トリフォニーは素晴らしいホールだと思うが小編成の「町人貴族」は、上岡の作り出す繊細な音作りが伝わってこない。しかし、後半の「家庭交響曲」は3階のこの席が当たりだと思った。舞台から溢れんばかりに楽員たち。数えてみると110名近い。左奥にホルン奏者が9名陣取る壮観ぶりだ。
曲が始まるやいなや、これはとてつもない名演になるという予感がした。弦楽器はもちろん、管楽器群もニュアンス豊かに鳴り響く。R・シュトラウスの作品の交響作品といえば、「ツァラトゥストラはかく語りき」「英雄の生涯」「アルプス交響曲」が有名。「家庭交響曲」はマイナーである。また、家庭交響曲は曲のテーマからして、前記の曲より内省的になるはずである。ところがクライマックスではアルプス交響曲を上回る壮大さに膨れ上がったのである。
上岡の音楽はダイナミックレンジ、テンポ、音色の階層の細かさにある。音色を例にとると、小澤などの日本の指揮者は淡色、ヨーロッパ系の指揮者は濃厚というような傾向があるが、上岡の場合はその表現範囲が無限ではないかと感じさせる。
コンサートが終わって、1階の客席へ行くと上岡さんの素晴らしさを教えてくれた中山さんがカーテンコールの拍手を送っている。「中山さん、最高のR・シュトラウスだったね。カラヤンより凄い」「僕もそう思った。新日フィルの弦があんなに重厚な音を出すとはね・・・」R・シュトラウスの演奏についてはカラヤンというのが評論家の間でも今までの定説なのである。「楽屋へいってみる」中山さんは楽屋で上岡さんに会うということで、誘ってくれたが、恐縮なので辞退した。
上岡は49歳。これから世界の巨匠の名演を次々と塗り替えるに違いない。
0 件のコメント:
コメントを投稿