20日、トランプ大統領就任。その後を追うようにフジテレビ問題が露呈。フジテレビ問題はトップの対応が一瞬にして企業を危機に陥れるというテレビドラマ以上の展開で眼が離せない。
そんな中、伊藤幸子さんの歌集「桜桃花」、エッセイ集「口ずさむ時」を久しぶりに本棚から取り出した。「桜桃花」の中の一句である。
明けやらぬあしたにわが曳くリヤカーは重く軋みぬ死せる父乗せて
作者は昭和20年、岩手山の麓で生まれた。16才で父を亡くし、亡骸をリヤカーで運んだ。”重く軋みぬ”という言葉にリヤカーの重さに、残された作者の生活環境の厳しさが重なり、慄然とするのである。
実は伊藤幸子さんは、私の高校時代の親友、伊藤博君の奥さんである。伊藤君は母校、鷹巣農林一の秀才。幸子さんは盛岡二高のご出身。秀才だったに違い。伊藤君は1988年56才で早逝した。
実は伊藤幸子さんは、私の高校時代の親友、伊藤博君の奥さんである。伊藤君は母校、鷹巣農林一の秀才。幸子さんは盛岡二高のご出身。秀才だったに違い。伊藤君は1988年56才で早逝した。
夫の里わが里とも誇りつつ水旨きこと他には譲らず
「口ずさむとき」は2007年から8年間、「盛岡タイムズ」に掲載されたエッセイ416作品を収録したものである。エッセイの冒頭に日本を代表する歌人の作品を配し、その歌に関連した作者の卓越したエッセイが続く。珠玉の数々である。
モーツアルトを聴きながら、このエッセイを読むのは人生の終幕を迎えた小生の至福の一時である。
(伊藤幸子➡日本歌人クラブ会員、岩手県歌人クラブ幹事、日本ペンクラブ会員)
モーツアルトを聴きながら、このエッセイを読むのは人生の終幕を迎えた小生の至福の一時である。
(伊藤幸子➡日本歌人クラブ会員、岩手県歌人クラブ幹事、日本ペンクラブ会員)