最愛の夫を失った主人公、薫子が、弟の元恋人せつなの「家事代行サービス」を手伝うというストーリーである。2人とも子供がいない。私から見ると、不幸な女性2人の生様である。せつなが依頼先の要求に合せ、ある時は要求を読み取って、提供する料理のレシピの多様さ、手際の良さに圧倒される。いがみ合っていた2人も「食」を通じて理解を深め寄り添う。読後、知らなかった女の世界を垣間見た気がした。女と男は違う生き物であり、尊敬すべき生き物だということを痛感した。
「本屋大賞」というのは全国の書店の店員さんが選んだ「一番売りたい本」だそうである。32万部売れたということはどういうことだろう。「カフネ」は定価1,870円である。これに32万をかけると、5億円を超える。これは凄い。作者に10%の印税が入るとして、5千万円になる。その他、原稿料が入るのかもしれない。作者は阿部暁子さんとある。阿部さんとはどんな方だろう。阿部暁子(あべあきこ)1985年、岩手県花巻市出身とある。2003年第18回全国高等學校文芸コンクール小説部門最優秀賞・文部科学大臣奨励賞、2008年に「いつまでも」で第17回ロマン大賞受賞し、コバルト文庫からプロデビューとある。